一ヶ月が経った。私はほぼ毎日カエール侯爵と遅くまで勉強していた。朝早く執事と剣の練習をし、午後はカエール侯爵の軍の仕事の手伝い、夜はいずれ生まれてくる跡継ぎに教えないといけないものを勉強していた。
明日はジャン将軍の結婚式の日、そしてカエール侯爵は同じ時間に舞踏会を開く。勇気のある男だと思う。
今日、あまり体に負担かけないように、侯爵はもう横になり、手紙を読んでいる。
相変わらずの長い長い沈黙。朝の「おはよう」以来カエール侯爵の声を聞いていない。
「アリアネ」
「はい」
「なぜ自分の思っていることを言ってくれないんだ」
「そういう育ちですから」
「待っているけど」
「なぜ私とあまり話さないかなぁと思っただけです」
「嘘を言わない約束だから、必要なことだけ言えばいいかと」
「他愛話できませんか」
「ワタシの声はそんなに恋しいか」
「結局私達の繋がりは言葉ではないんですか」
カエール侯爵は手を差し伸べた。私はその手を握り、侯爵の傍に座った。
カエール侯爵は私の髪を撫で始めた。
「初めてアリアネを見た時に、一度でいいからあの黒い髪に触ってみたいと思った。戦場でエンリ副隊長に髪を結んでもらっていた。とても幸せそうな顔をしていたね」
「なぜ髪ですか」
「口実だよ、口にいずれる触れるために。あの時、エンリ副隊長羨ましかった」とそっと唇を触れた「一目惚れだったかなぁ」
私が笑った
「それはありえないと思います」
「なぜ」と真剣顔で侯爵は聞く
「恋になんて落ちたことはないでしょう」
カエール侯爵は微笑みで答えた。
私は侯爵にキスしようとしたら、侯爵は私を止めた。
「明日のためにもう寝た方がいい。朝は店の者が来るから、綺麗なドレスを選んでね」
「また新しいドレスですか」
「このくだらない社会のマナーなので・・・」
「分かりました」
つづく