10年前、歌舞伎町で
風邪がよくならないため、明日は勇気をだして会社休みます。
昼間、ずっと寝ていたため目がさえてしまいましたが、体はまだふらふらします。
しばらく眠れないと思うのでちょっとくだらない事でも書きます。
今から10年前、僕は新宿、歌舞伎町でバイトをしていた。と言ってもそば屋の出前持ち。
夜、10時から2時までやっていた。僕の実家は新宿の近くなので自転車で通っていた。
もちろん夜中の2時過ぎに新宿の近くでママチャリこいでる若者がいれば当然職質をうける。
僕はもう慣れっこだったし「なんだ君か、今バイトの帰りかい?気をつけて帰れよ」と言ってくれる
警察官もいた。
僕は歌舞伎町で本当にありとあらゆるところに出前を運んだ。おかげで色々な普通では経験できないようなことを経験することになった。このことはおいおい書きたいと思う。
その時そのお店には僕を含め4人の出前持ちがいた。
一人は年齢不詳(基本的にみんな様々な事情をかかえているため自分の事は話さない)の昼間はなにか他の仕事をしている小柄で体格がいい人。もうひとりはビジュアル系のバンドでドラムを叩いている30後半の人。
もう一人は通称アベちゃんと呼ばれる40代の人、そして僕だ。
通称アベちゃんと呼ばれる40代で白髪まじりで前歯が2本ぐらいないこの人とは結構仲がよかった。
喋り方もしっかりしていたし、よく面倒をみてくれた。
アベちゃんはいつもおおきなカバンを肩にかけ店に出勤してきた。
そしてよく「おねーがさ、」と僕に‘おねー‘の話をした。
アベちゃんのおおきなかばんの中には、はっぴ、笛、はちまき、うちわ、ペンライト、紙ふぶき、リボン、タンバリン、カメラがごちゃごちゃと入っていた。
アベちゃんはストリッパーのおっかけなのだ。
アベちゃんがよく僕に話してくれる‘おねー‘とはアベちゃんが夢中になっているストリッパーの事だ。
ストリップ劇場の年間パスポートみたいなやつも持っていたし、ストリッパーに向かって投げるリボンの生地
にもこだわり、わざわざ浅草のほうまで仕入れに行っていた。
「○○ちゃん今度一緒に行ってみない?楽しいよ」(基本的にちゃんづけでみんな呼ぶ)と何度も誘われたが
「いや、いいっすよ」と断っていた。
驚いたのはカバンの中にもうひとつタンバリンがあり、シャンシャン音も鳴らないし、ものすごく重い。
このことをたずねると、「ああ、これは練習用」と言っていた。
なんでもテーマに合わせた、テーマ曲があるようで完璧にたたいて盛り上げるため練習は欠かさないそうだ。
一度腕前をみせてもらったがすごかった。なんせ目がちがった。
全神経を腕に集中させ、超高速でタンバリンが揺れた。
「すっすげぇ」と僕も感動。
笛をふきながらタンバリンをたたき、ポイントがきたらリボンを投げ、クライマックスで紙ふぶき。
これを完璧に行わなくてはならないそうだ。
アベちゃんはもともと普通のサラリーマンだった。
会社をクビになったそうだ。「ただ俺が馬鹿だからクビになったんだ」と言っていた。
それ以来、就職はしていないそうだ。きっと社内政治とか人間関係とか色んな事が嫌になってしまったのだろう。
その時の生活はこれで十分だと言っていた。
僕がバイトをやめてしばらくして偶然新宿でアベちゃんに会ったことがある。
友達と待ち合わせをしていたら「聞いてんの?」と話しかけてきた。
ちょっとびっくりしてふと見ると近くでさえないトリオがジャズを演奏していた。
「友達と待ち合わせ。これからバイトですか?」
「おう、そうなんだ、じゃまたな」
人混みに消える後ろ姿を見ていた。
なぜかちょっと悲しい気持ちになる。
それ以来会っていない。
つまんない事書いてしまいました。
読んでくれてありがとうございます。