夢アルマジロ | 地球に舞い降りたドラマたち

地球に舞い降りたドラマたち

ボクが感じたものがたりを載せていきます。

あなたにとって、夢よりも大切なものは、
なんですか?

これは夢を実現するために、
自分の命を絶とうとしている、
アルマジロのお話です。
======================================

ミーンミンミンミィ~

とある崖の上。
二匹のアルマジロがいました。


「辞めなよぉ」

1、2、のっ!!……。

うーん

夢を叶えるのって、
なかなかできんなぁ。

「アルマジロが空を飛ぶなんて、
おかしいよ。」

うるさい!
これが俺の夢なんだ!!

すっこんでろ!

「崖から飛び降りるなんて、死んじゃうだけだよ。」

何を言っていやがる!!

夢のために死ねるなら、本望だ!!

「羽がない、アルマジロが空なんて飛べないよぉ。」

たしかに、オレたちアルマジロには、
残念ながら羽がない。

無いけど、崖から飛び降りたときに、
この手が羽に変わるかもしれない。

もしダメでも、どこかのニワトリのように、
死んでから空を飛べるかもしれないだろ。

ふん……。

まぁ、夢がないお前に、
何を言っても無駄か。

俺の生き様を見てろよ。

……。

うーん、なかなか難しいなぁ。

ミーンミンミンミィ~

ん?!おい、あのセミを見てみろ!

あのセミはな、空を飛ぶという夢を叶えるために、
土の中で何年間も、ジッとしていた立派なやつなんだ。

さぁ、俺も飛ぶぞ!!


『あのぉ、恐縮ですけど、セミですミン。』

わたしゃ、夢のために、
土の中にいたんじゃないミン

なに?じゃぁセミさん、
何で土の中なんかに、何年間もいたんだい?。

『それは昔から、セミの習性として、
繰り返されていることだミン』

『土のなかじゃないと、幼虫の私たちは、
生きて成長できなかったんだミン。』


まぁ、いい。

セミさんよ。よく見といてくれ!!

俺は、俺の道を行く。

今からこの崖を越えて、
空を飛んでみせる!!!

せーの!!

『夢を持って生まれてくる
生き物なんていないミン。』

?!

『だから、夢のために死ぬなんて、
おかしいミン。』


セミさん、そんなことを言ったら、
夢も希望もないじゃないか!!

そんな人生が楽しいのか?

そんな人生を送りたいのか?

俺は、そんな人生なんかいらない!


『みんな生まれてくるとき、夢は持っていないけど、
希望は持っているミン!』

どんな希望を持っているんだ?!

『私たちは、子供を作るために生きて死んでいく。』

『その一生のなかで、
多くの食べ物を食べて、多くのフンをするミン。』

『そのフンが、土の栄養になるミン。
土が豊かだと、植物もよく育つミン。
そのよく育った植物を、ほかの生き物が食べる。
その生き物がフンをして、また土を豊かにするんだミン。』

『私が生きているだけで、
多くの生き物を支えているんだミン。
もちろん、私も多くの生き物に支えられているミン。』


『だから、僕たちは、
生まれてくることだけで、
誰かの希望になっているんだミン』


……。

『もちろん、
僕もキミに夢を実現してほしいミン。』

『夢って、とても素敵だミン。
素敵だけど、アルマジロが空を飛ぶなんて、
おかしいミン。』


うるさい!うるさい!


誰がなんと言おうとも、
俺は夢を実現するんだ!!

自由に空を飛べるセミさんに、何がわかる。

さぁ、今度こそ、俺は飛ぶぞ!!

1、2、の!!

うーーーーん。くそぉ!!!
勇気が足りない。


「ねぇ、まだ世界丸まり選手権に選ばれなかったのを、
悔しがっているの?」


?!

「もう夢を失った自分を、許してあげなよ。」

『世界丸まり選手権ってなんだミン?』

「世界中のアルマジロたちが、集まって、
己の丸まる美しさを競う大会です。」

俺は昔、丸まる選手権の1位になるのが夢をだった。

何度も挑戦したけど、ダメだった。
夢に敗れたのさ。

夢を失ってからは、
今まで仲良かった周りのアルマジロたちが、
どんどん離れていった。

不安で、不安で丸まれない毎日だった。

もうあんな生活なんて、いやだ。

夢を持っていないと不安なんだよ。


「僕……。」

「夢を持っていないよ。」

「だけど、キミと一緒に丸まる時間が楽しい。」

「キミのことを、最高友達だと思っているよ。」

たしかに、お前は夢を失ってからも友達で、
いてくれた。


『自分が生きているだけで、
たくさんの生き物に応援されている。
同じように、自分もたくさんの生き物を
応援しているミン。』

『自分が誰かのためになっている。
それに気づければ不安なんてなくなるミン。』

『だからこそ、夢を100回、実現するよりも、
今日を生き抜いたことのほうが、とても素敵だミン。』


そう言って、セミは
はかない空へ飛んでいきました。


セミさん、突然、出てきて、
突然、飛んで行きやがった。


俺はどうすればいいんだろう。


「ねぇ、またいっしょに丸まろうよ。」


そうだな。

まずは丸まって、
考えるのはそれからにしてみようなか。