日本で一番売れている自動車として有名なホンダの軽スーパーハイトワゴン(2代目のJF3)をレンタカーで借りたので、印象を記す。

大きさは軽自動車枠ぎりぎりでボンネットは極めて短く、日本の狭い道では最高に運転しやすい。デザインは軽ワゴンではどれも似たり寄ったりだが、限られたサイズの中で大きく見せようと背伸びしているような印象。虚勢を張ったようなデザインなのがどうも軽自動車には多いが、ユーザーの心理を反映しているのだろう。

視界はピラーもできる限り細く抑えてあるようで、囲まれ感は少なく、見通しは悪くない。特に、左サイドミラー前面を鏡面にすることで、左前輪付近とその前方を車内に設置したミラーで見えるようにした「サイドビューサポートミラー」と、同様に助手席ドア付近の死角を車内に設置した別のミラーで見えるようにした「サイドアンダーミラー」はよくできたアイデアだ。ホンダのステップワゴンでも同様の工夫がされていて感心したが、軽自動車でもさらに進化して作りこまれているのは素晴らしい。

さらに、テールゲートの中央上部、ちょうどハイマウントストップランプが設置されている付近に湾曲した凸面鏡がつけてあり、車両後端部の死角がルームミラーで見えるようにした「後方視角支援ミラー」も良い工夫である。

これだけ視界確保をカメラ類に頼らず低コストで実現しようとしている車は国内でも他にないのではないか。


USBポートは標準装備があったようだが使用せず。おそらくタイプAだろう。シガーライターソケットというか電源ソケットも備えてあり、携帯機器の充電はこちらで行なった。

Blutooth接続したスマホの音源を標準カーAVナビシステムで再生したが、音質は車格相応の、いわゆるラジカセ程度のもの。でもイコライザーが備えてあるので、周波数帯別の音量バランスを調整することはできる。

最近の車の最新装備について。

・車線逸脱警報や自動ブレーキ・先行車発進追随警報つきオートクルーズが装備。ステアリングを放置すると手を添えるよう警告もあり。

・車線逸脱警報の警告は表示とアラーム音に加えステアリングへの修正介入もあった。

・ガイドライン表示付きのバックモニターあり。

・オートライトの点灯タイミングは即時点灯で適切だが、消灯タイミングは5秒後くらいで少し遅い。どの車両もこんなもんなのかね。

・ワイパーを使う機会は無し。
 

車のつくり全般について。

・四方の視界はガラス面積が大きく視界良好。デザインも四角いので、車両感覚は非常につかみやすい。

 

・NAの660cc3気筒エンジンということで、出力はそれなりであり、さらに高回転高出力型のチューンではなくフラットトルク型のチューンなので、回したところでたいしてパワーも盛り上がってこない。スーパーハイトワゴンということで車重も1トンあるし、頑張っても緩慢な加速である。まあ、流れに乗る程度なら十分だが、流れをリードできる余裕はない。もしフル乗車で高速道路の上り坂だったら全開でも速度が落ちてこないか不安である。高回転まで回してもさほど喧しい音質に感じなかったのは、ホンダ車という心理的バイアスがかかっていたせいかもしれない。

アクセルの開け方が緩いと、CVTがギア比を高く抑えたままで低回転を使うので、やはり標準では燃費優先のセッティングになっているが、ECONスイッチを押してECON OFFにしてパワーモードに入れると若干活発になる感じ。

減速は、弱めの初期踏力の入力に対して減速Gの立ち上がりが遅く感じた。さらに踏めば十分な減速は得られるが、リニアな利き方ではないのがちょっと不自然。シフトダウンのエンジンブレーキによる多少の減速G変化もある。

・シートの位置およびステアリングの位置に対して、ペダルの左右位置は右のホイールハウスを避けるため明確に左にオフセットされており、ブレーキペダルがシート正面に来るような配置。車格からするとどうしても致し方ないのだろう。

・サスペンションの硬さについては、当たりはソフト目で、乗り心地重視な設定。ある程度踏ん張ると、すぐにフロントタイヤからスキール音が出てアンダーステア傾向になる特性。これは背の高く幅の狭い車両としては大正解のセッティング。こういう車両で変に足を固めて踏ん張らせるセッティングだとすぐ横転するので、ドライバーに減速させるよう促すのが車両からのインフォメーションとしてあるべき姿。

また直進安定性はそれなりに確保されているので、直進している限りはおおきな不安感はない。今回高速道路は乗らず、横風が強く吹くこともなかったので、高速直進安定性や操縦性はよくわからなかったが、おそらく背が高い割には大きな不安はなく巡航できるのではないかと感じさせる。

なお電動パワステの特性として、微小舵角でのステアリング操作での不自然な感覚は若干あるのが感じられたが、これは車格相応ということだろう。
 
・ABSは利かせる機会がなかったのでどう作動するか不明だった。

・ATレバーは、コンベンショナルなスライドレバー式。パーキングブレーキは電動ボタン式だったが、引き上げるのか押し下げるのか、作動と解除の動作がどちらか直感的にわからない。スイッチ付属のインジケータを見ればわかるが、覗きこまないとわからないのは嫌。
 
・エアコンの吹き出し口が運転席側は丸い形状になっていて、何か追加装備を装着しようとした場合にルーバーにモノが挟めないのは使いづらそうだと感じる。

 

・後席は、スライド量が非常にたっぷりとられており、大人でも足を組める広さを確保できる。幅は狭いが、奥行きと頭上の余裕はショーファードリブンのセダンもかくやという広さ。まさにスーパーハイトワゴンの真骨頂というところ。ただし、後席のスライドを最大にするということは、被追突時のクラッシャブルゾーンを食いつぶすということなので、痛しかゆしである。

・トランクルームの広さは後席のスライド量に反比例する。後席を畳めば、自転車が縦に載るほど広いが、後席を最後部にスライドした場合は若干の手荷物程度しか乗らない。

・燃費は給油する機会がなかったので不明。


総じて、軽自動車枠の中でスペース効率を最大化した乗用車というパッケージに沿った設計で、深いレベルまで作りこんだことが感じられる。道具としてよいものを作っているので、こういった道具を欲する人には最適といえる。売れる理由が分かった。自分は買わないが。