ハイブリッドカーの象徴たる車両の5代目?のレンタカーを借りたので、印象を記す。
大きさはCセグメントとしてほぼ標準的だが、4代続いたこれまでのプリウスよりもスペシャルティカー寄りに振り切ったデザインとなっていて、車高は低めで、Aピラーとボンネットの角度がほぼ同一となっている。5ドアだがほぼクーペといってもよいデザイン。
鋭角的だがパッとしなかった先代に比べると、デザインの洗練度は上がったし、単純に格好良いクーペとして買いたいと思う人は増えたのではないか。
ただし、運転席に座るとフロントウインドウが思いっきり寝ていて、ほぼBピラーの頂点付近まで伸びているので、頭の周辺のスペースが無く圧迫感が半端ない。幸い、シートリフターを最大限下げたら圧迫感は軽減されたが、デザインの弊害は後方および後側方の視界に悪影響を及ぼしており、ルームミラーではトランクリッドが邪魔で後続車がよく見えない。これは困ったものだ。
USBポートは標準的に装備されており、Blutooth接続したスマホの音源を標準カーAVナビシステムで再生したが、音質は車格に見合わないリッターカー並のもので、ちょっと残念。音質を求めるならば高額なオプションを払えということなのだろう。
最近の車の最新装備について。
・車線逸脱警報、前車追従型オートクルーズなどの安全運転アシストについてはほぼすべて装備済。
・オートクルーズの速度設定は細かく調整可能なようだが、自動車専用道路以外では使わせないようになっているようで、使用できるシチュエーションは発生しなかった。どの程度前車との間隔を調整するのか、残念ながら検証不能。
・車線逸脱警報の警告はメーター内表示とサイドミラー内の表示並びにアラーム音のみで、ステアリングへのバイブレーションによる警告は無い。
・ガイドライン表示付きのバックモニターあり。
・オートライトの点灯タイミングは即時点灯で適切。だが消灯タイミングが4~5秒程度でやや遅く感じられた。
車のつくり全般について。
・四方の視界は前方以外は悪い。Aピラーも太くて近いので死角が大きいため、右左折時の安全確認も首を振るだけでなく頭を水平に動かし積極的に見る動作が必要。側後方もウエストラインが後方に向けてせりあがっており窓が天地方向に狭い。後方視界は前述の通り最悪。見切りもボンネットはほぼ視界に入らず。
・2Lの4気筒に熟成を重ねたトヨタのハイブリッドシステムということで、モーターとエンジンの動力源の組み合わせ・切り替えはほぼシームレス。変な癖もなくフラットなトルクが出るし、低中速域ではモーターのアシストにより相当なダッシュも効いて、快適な街乗りができる。高速道路に乗らなければ、加速力に不足はほぼ感じないで済むのは素晴らしい。
また、他社のハイブリッドと異なりトランスミッションが無段変速のためか、加速時に全く段を感じない。さらに、減速時も回生ブレーキと油圧ブレーキの切り替えに段を感じさせない制御ができており、非常にスムーズなブレーキングが可能。
ただしハイブリッド車の常で、エンジンの音質は特にスポーティな気持ち良いものではない。
・シートの位置およびステアリングの位置に対して、ペダルの左右位置はやや左よりだが、まあ車格からすると標準的な配置。
・サスペンションの硬さについては、当たりは若干ソフトで、乗り心地は悪くないが、腰のある踏ん張りの効く感覚。右左折時のロールや加減速によるピッチングも抑えられており、スポーティといってよい動き。直進安定性、操縦性ともに高いレベルが確保されており、シャシーが良くできていることがその理由だろうと推測される。電動パワステの特性としても、微小舵角でのステアリング操作での不自然な感覚はほぼ感じられず、良くできている。
・ABSは利かせる機会がなかったのでどう作動するか不明だったが、前述の通り減速Gに段がつくような感覚は一切ないのは素晴らしい。
・ATレバーは、先代以前から悪評高いジョイスティックのレバー式で、バネで中立に戻ってしまうのでインパネの表示を見ないとどこにポジションが入っているのか分からないもの。Pに入れるのはレバーでなく別のボタンを押す方式なのでちょっと戸惑う。とはいっても、DとRの入れ方はそれぞれ別の方向に倒すものなので、誤操作のリスクは抑えられているのかもしれない。
パーキングブレーキも電動でボタン式だったが、引き上げるのか押し下げるのか、作動させる動作がどちらか直感的にわからない。これもインパネの警告灯を確認しないと作動させたのか解除したのかが分からず困る。
重要な操作のインターフェイスはもうちょっと人間工学に沿った操作体系にしてもらわないといかんねえ。電気スイッチで何とでもなるからと言って、エンジニアの遊びを許容するような直感的に操作しにくいものを作っては、トップメーカーの沽券にかかわるのではないかな。
・ステアリングの調整がチルトとテレスコピックの両方があるのは安心。
・後席は前後左右方向の広さは十分。外観からの印象よりも着座点はそこまで低くないが、やはりCピラーが寝ているので頭上の余裕はほぼない。座高の低い人なら良いが、セダンとしての使い方はあきらめた方が良い。
・トランクルームの寸法は車格に見合ったもの。
・燃費は給油する機会がなかったので不明だが、瞬間燃費計は20Km前後を示していることが多かった。Cセグメントでこれだけ走れば十分だ。
総じて、視界の悪さや操作体系に不愉快なところはあるが、十分な走行性能と見栄えのする外観を持った車両であり、外観が気に入った人には良い選択肢だと思われる。プリウスは燃費に特化した車両だという自分の印象は、このZVW60という車両形式には対しては無くなった。