映画 PERFECT DAYS | mizuochi & the understanding

mizuochi & the understanding

ロックンロールバンドのブログです。

こんにちは。


先日観た映画がとても良かったので

その時にどちらにしようか迷った映画を

観に行きました。



ヴィムヴェンダース監督、役所広司主演

『PERFECT DAYS』


物語は渋谷の公衆トイレ清掃員である男の、毎日変わらない日常を追いかけたもの。

朝、暗い頃から起きて、植物に水をやり、歯を磨いて、缶コーヒーを飲みながら仕事に向かう。

清掃道具がカスタマイズされた軽ワンボックスには70年代ロックのカセットがたくさんあり、それを聴きながら今日も現場に出掛ける。

公衆トイレを丁寧に磨き、昼には神社でサンドイッチを食べ、仕事が終われば銭湯で汗を流す。

地下街の飲み屋でいつも同じ酒とアテを食べ、一人暮らしのアパートに帰れば古本を読んで眠る。


そんな男の毎日、何も変わらない毎日。

だが、男は毎日、木々を眺め、木洩れ陽を感じて笑顔する。


変わらない毎日にもダメな同僚や飲み屋のママ、突然尋ねて来た姪、その母親の妹、いろいろな事もあって心情に変化が訪れる。


日常に流れるカセットの音楽。

アニマルズ、ヴェルベットアンダーグラウンド、オーティスレディング、パティスミスは同僚が熱を上げるガールズバーの女が気に入り、タイトルの曲、ルーリードが流れ、部屋の掃除シーンではキンクス が流れる。

飲み屋のママ(石川さゆり)が歌う『朝日の当たる家』も素晴らしくて涙が出た。

この音楽だけでも映画館に行く意味はあると当初思った。


しかし、音楽だけじゃなかった。

男が毎日見上げた木、感じた木洩れ陽。

そしてそれを見た時の笑顔。

僕も忘れかけてたものを思い出しました。


僕の宗教はアニミズムだと若い時に勝手に宣言して、山や空や風や、木を見て生きて来た事をあらためて思い出しました。


都市開発や何かで、人間に大切な原風景を壊してしまうことがどんな事なのか。

儲かるなら生命さえも売り出してしまう、そんな時代はもう終わりにしたい。


そんな事を思いました。


役所広司さんは言うまでもなく、他の出演者の方々もみな素晴らしい。

なんだか、贅沢な映画だったなと、見終わった後にジワジワくる作品でした。