日曜に書いた懐かしい店
なかなか評判が良かったので第2段。
僕らのバンドが若かりし頃
活動の拠点は大阪・天王寺でした。
その頃の天王寺はまさにディープな場所で
今では誰もが気兼ねなく遊びに来れる繁華街ですが
通天閣辺りから新世界、それこそ夜なんかは
若い子がひとりで歩けない雰囲気。
天王寺公園も今は有料となってキレイに管理されていますが、当時はホームレスの宿場、青空カラオケと踊り、ヤバい商品のマーケット、落ちぶれたヤクザ、芸人の成れの果て、プロ喧嘩屋、アル中、オカマちゃんなど、まるで映画の様な状況でした。
僕らは基本的にリハーサルスタジオは通天閣のお膝元、商店街にあるビルの地下でしたし、一番ライブをやっていたのが天王寺から新今宮に向かう途中のハコでした。
ライブやリハーサルが終わってからミーティングやなんかで訪れるのがあべの筋にあったアメリカンと言う喫茶店。
この店も地下があり、大概は薄暗い地下に潜り込んで何時間も粘っていました。
ウェイトレスはかなり年齢の背の低い太ったおばちゃんと、かなり化粧の濃い痩せたおばちゃん。
何杯も何杯も水のおかわりをイヤミも言わずに入れてくれました。
店の階段を下りたところにジュークボックスがあって、なけなしのお金でキャロルを何度か掛けました。
いつもオーダーはコーヒー一杯だけなんですが、たまに誰かのバイト代なんかが入った時はカレーライスやトーストを頼んだりして
ライブの反省会や次の曲順なんかを延々と話し込んでいました。
当時は金もないくせにタバコはバカバカ吸って、店内煙だらけの中、大声で笑ったり怒ったり、とにかく楽しかった。
いつ潰れてしまったのか、気付いた時にはなくなっていましたが、
あの頃はあんな薄暗くて、コーヒー一杯で好きなだけ入り浸る喫茶店が何件かありました。
お金がないというのも、当時は本当に酷くて帰る電車代がない時さえあって、メンバー間では誰かが持っていたらOKなんて事もしょっ中でした。
アメリカン。
僕らはブリティッシュビートのバンドなのにずっと入り浸って、馬鹿みたいに楽しかった事ばかりを思い出します。
きっとウェイトレスのおばちゃん達は温かい目で見てくれていたんでしょう。
あの時代は懐が広い大人がいたんでしょう。
僕らもそうありたいものです。