昨日書いたブログから
だんだんと大映テレビのような雰囲気になりつつ
ド根性で乗り切るか、復讐劇の展開か、
まさか僕が交通事故で記憶をなくす?
それとも僕の性別が変わって店長にプロポーズされる?
はたまたどうなる?この次の展開!
と、まったくアホな反響がありますが。
オモシロ可笑しく読んでもらっていることは光栄です。
本人は至っては過ぎた事ながら
思い出すだけで情けないやら、恥ずかしいやら
出来るだけ記憶を辿って事実を書くよう努めています。
いや、ウソなんか書いてません!
神に誓って!
ただほんのちょっとの記憶のズレはご容赦頂きたく、、、。
バンドの思い出~その9
「謝らんか!」とアタマを押さえつけられ、
もう辞めようと思った僕ですが
家に帰って計算すると
まだ予定予算には届かない事が分かりました。
(あ~~~~っ、まだ働かなアカン!!!)
計算では少なくとも、あと1週間以上は続けないと
ドラムセットは揃いません。
そこで僕は覚悟を決めます。
(もう、何も感じない事にしよう。)
これから後に感銘を受けた魯迅の「阿Q正伝」は
まだ読む前で、「精神的勝利法」※なるワザは体得していませんでしたが
気にしない事で時間が経過すればそれで良いと思いました。
この日もまた軽くイジラれました。
お釣りを間違えた罰とかで硬貨を洗うよう指示されました。
10円玉を酸系の液体に付けて磨くのです。
普段は厚手のビニール手袋をはめてするのですが
僕は素手でやらされました。

当然、指先の皮がめくれてボロボロになっています。
それを見て店長は
「お前、手袋ハメろや、アホか~?」と、笑っています。
また次の日には
「おう、俺がコーヒー奢ったるから買うて来い、人数分」
と、言うので店にいた3人と僕の分で4本買ってくると
「誰がお前の分買え言うた~?」
「え?」と、驚いた顔のフリをしていると
「まぁ、ええわ。飲め、飲め」と御礼を言わせます。
それでも何も感じない事にした僕は
薄ら笑いを浮かべながら時を過ごしていました。
そんな僕ですので、ちょっと用事で勤務中に店を出されると
必要以上に時間を使って適当にサボったりしていました。
ある時、近くの店舗で弁当用の容器が足らなくなったとの事で
持って行くよう指示されました。
歩いて行けば15分程度、往復30分程度の距離です。
時間は夜の10時を過ぎていました。
市営公園を横切って行けば近道です。
弁当容器を両手に100個づつ抱え、真っ暗な公園を歩いていると
「ちょっと、牛丼屋のお兄ちゃん、、、。」
少しかすれた弱弱しい男の声でした。
!!!
振り向くと、おカマのオッサンが赤い着物来てこっち見て笑っています。
「お兄ちゃん、牛丼屋さんやろ?そこの?」
「、、、。はあ。」
なぜ僕は立ち止ったのでしょう。
すると、
「お兄ちゃんとこ、この前行ったら、お茶頂戴って言うたのに
くれへんかったやん!なんでなん!?」
笑いながら怒っています。
「はあ?」
「だから、お茶頂戴言うたのに!」
「え?」
すると、暗闇からもう一人現れて
「牛丼屋、べ、弁当か?それ?くれや!!」
弁当容器の入っているビニール袋を取ろうとします。
「っちょっと、止めて、下さい、、、」
僕は手を払おうとした途端、「わぁ!」と、2人目のおカマがこけました。
「イヤ!乱暴やわ!!」
「どうしてん?どうしてん?」
またまた暗闇から、今度はホームレスのオッチャンが数人出てきました。
「この牛丼屋、レイカのこと突き飛ばしやんねん!」
「あかんやん、あかんやん!」
アカンのはこっちの方です。
みるみる7~8人に囲まれて両手に弁当容器を抱えた僕は恐怖感を覚えました。
完全にハメられるパターンです。
咄嗟に目の前の一人をかき分け、掴まれる腕を振りほどき
「知るか!ボケ、俺とちゃうわ!」
と捨て台詞を残し、一目散にダッシュしました。
そこは、サッカーで鍛えた脚です。
人の囲いを抜けると数歩追いかけてきた気配はすぐに消えました。
やっぱり、この辺は予想できないことが起こります。
ある意味、ヤクザより怖い。
その後、予定より時間の掛かった僕がその状況を説明しますと
店長は珍しく
「ホンマやったら大変やったなぁ。この辺は多いからなぁ、、」と
分かったような顔をしていました。
(つづく)
※魯迅著「阿Q正伝」のダメダメ主人公・阿Qがあみ出した滅茶苦茶されても相手に勝つ方法。