先日、お友達が一つの動画をUpされていた。

 

ご本人のものではなく、とある歌手の最新のもの、らしい。

僕自身はその歌手についてあまり詳しくなく、その最新の曲も拝聴しながら

「うん、なかなかええ感じなんと違うん?」

なんて思っていたのだが、どうやら世間的な評判は、あまりよろしくないらしい。

 

その作品についてのいくつかの記事やコメントを読んでいて、昔のことを少し思い出した。

 

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僕はLED ZEPPELINの大ファンであるのだけれど、年齢的に彼らのアルバムをリアルタイムで購入、体感できたのは8枚目の「In Through the Out Door」のみだ。

 

(写真は以下から転載しております。このアルバムジャケットについて深く考察された、実に面白い記事ですので、ぜひご一読ください。)

 

 

ここで問題となるのは、1979年、つまりLED ZEPPELINがデビューしてから10年が経過した時点でのVocalist、Robert Plantの「歌」「声」だ。

 

1969年にデビューした当初、「物凄い声量とハイトーン」が売りだった彼の、10年後の歌。

そこからは、デビュー当時の「あの声」は聞き取ることができなかった。

でも当時の僕には、そんなこと割とどうでもよかったように記憶している。

 

1970年代、まだまだVocalistがVoice Trainingをやるような時代ではなく、みんな強い酒を飲みタバコやイケナイものを吸い(笑)、SEX, DRUG and Rock and Rollを地で行っていた時代。若さや健康を保ことに意味なんて感じていなかったのだと思う。そもそも、健康なんてWordはR'n'Rから一番遠い存在だったはずだ。(多分それが意識され始めたのは1980年代頃から、Rock'n'Rollが「商品」になり、企業が「商品の保全」を意識し始めたからだろう)

 

 

そう、劣化は「当たり前」だった。

 

具体的な比較をしてみよう。

お題は「Heartbreaker」にしてみる。

 

動画でないのは残念だけれど、比較的古いテイクの音源が見つかったので貼り付けてみる。

 

1970年、Montreuxでのライブ音源。

 

そして、「あの」(苦笑)1980年のMaddison Square Gardenでのテイク。


 

人間、10年もあればこれだけ変わる。

 

1980年のライブテイクを「1970年当時の声が出ていないから」と批判するのは容易い。

 

だが、1980年のテイクにはこれなりの「味」があると僕は思う。

劣化は、熟成とも言える。

若い実の酸味が好みの人もいれば、熟した実の甘みが好きな人もいる。好みは人、それぞれだ。

 

だが、そこに在り、歌い続け、作品を提示し続ける限り、その者は自分の持つ最高のものを提供しようとしていると確信する。

 

僕だって、今、そうなのだから。