生まれてからしばらくの間、僕はお爺さん、お婆さんの家に預けられて育ちました。

 

その家には僕よりもひと回り上、12年ほど年の離れた叔父が二人、一緒に暮らしていました。

 

色々遊んでもらっていました。

 

 

田舎の家には蔵や納戸があって、蔵の下には鶏を飼っていました。

 

そこで採れる新鮮な卵を使っての料理、畑の出来立てのトマトなんかを美味しくいただいていたものです。

 

(写真はイメージです)

 

幼稚園に入る頃に両親の元へ引っ越した時には、大泣きに泣いた覚えもあります。

そんな「田舎っ子」だった僕は、引っ越してからもなんども田舎の家に帰ったものです。

 

いつもお爺さん、お婆さん、そして叔父たちは暖かく迎えてくれました。

とても楽しかった思い出しかないです。

 

田舎の家には色んな物がありました。

先にお話しした蔵や納戸は、僕にとっては宝の山でした。

 
古い機械(お家は機織りの仕事をされていました)、農機具、今では見られないような古い着物。

叔父たちが使わなくなった、一回りくらい上のお兄さんたちの使っていたものが沢山ありました。

そして中でも僕のお気に入りは、叔父たちが買って残してあった、古い漫画雑誌でした。

 

少年マガジン、少年ジャンプがあって、「あしたのジョー」とかも掲載雑誌をそのまま読んでいました。

暇さえあれば、蔵の中を探検し、漫画雑誌を読み漁っていたものです。

 

そんな中でも特に印象的だった作品が、ジョージ秋山先生の「デロリンマン」でした。

 

 

この作品を読んで、なんて面白くて、切ないのだ、と当時思っていました。

 

人々よ、魂の故郷へ帰れ!

 

このセリフが子供心に刻み込まれていたのでした。

 

後年、ジョージ秋山さんの作品にはもっと触れる機会も出てくるのですが、この作品と、同時期に掲載されていた
「ほらふきドンドン」
この2作品はあまりに印象が強かったのです。
 
ずっと探していた単行本、やっとの事で再販されて手に入れたのは2000年。
もう20年も前のこと。
 
その単行本ですら、すべての作品が収録されていたわけではなく(諸般の事情があるそうですが、僕自身は本当の理由を知りません)、残念な気持ちにもなりましたが、今となってはこの作品を目にすることすら難しいでしょうから、当時良く手に入れたものだと思います。
 
 
はっきり言って、「少年誌」に掲載すべき作品であったかどうか、判断できないです。
現在の少年誌では100%無理でしょう。
 
僕の「漫画」に対する意識は、この作品に出会ってから変わったのだと思います。
 
鬼才、という表現が一番似合う作家さんであったと思います。
 
 
ジョージ秋山さん、ありがとうございました。あなたの作品に出会えて良かったです。
 
 
(デロリンマン、出来ることなら、すべての人に読んで頂きたい作品です)