お中元やお歳暮などを贈るという慣習が昔から疑問だった。

送ること自体に対してではない。贈るものについてだ。


貰った人は洗剤やら石鹸、油、醤油などの詰め合わせを貰って喜ぶだろうか?

昔の私のように「貰えれば何でも嬉しい」ならそれでいいんだが、核家族の多い今日、そんな大量に必要だろうか?

いや、消耗品ならまだいい。

例えばタオルなんて場所をとるし大変だろう。センスの問題もあるかもしれない。まあこれも消耗品ではあるんだが。



事前に欲しいものを聞いておくのがプレゼントを貰う側にとっては最良だと思うが、

「サプライズをしたい」とか「これを贈りたい」とか『自分のためのプレゼント(自分で自分用に買うことではない)』ならば現金が最良だと思う。

日本人の美徳か見栄か知らないが、現金が躊躇われるなら図書券や商品券にすればいい。

大きいものを贈って贈り手が満足するのは勝手だが、貰う側の立場になったとき「自分が貰って嬉しいものを贈る」という当たり前に気づかない。

贈るばかりで貰わないからだろうか?

いや、気づいていてもやらないのだと思う。その先は言うまい。


いつかの未来にそんな機会があるときには私は現金か近いものを送るだろう。そして、貰ったものは誰かに譲渡するだろう。
石鹸も洗剤も油も自分で決めたものを使っているからだ。


その点、祥子様は優しい。手作りチョコとでは比較対象が違うだろうが。

「私がうんざりしているのは、バレンタインデーにチョコレートを贈りたいという欲求を、私で果たそうというお手軽な発想をする一部の生徒たちに対してよ」
「だから、あなたが私のために作ってくれた物だったら、もちろんありがたく受け取らせていただくわ。当たり前でしょう?」

「マリア様が見てる ウァレンティーヌスの贈り物(前編)」より。