以前、格闘技ジムに通っていた頃、プロの女子格闘技選手と一緒になったことが何度かあります。
 その方は小柄な方で、最軽量級の選手。
 雰囲気も穏やかで、普段の服装だと「大人しそうな女の子」です。
 
 一度、その方とたまたま組技(投げ技・絞め技・関節技)限定のスパーリングをやりました。
 本当に小さく細い女性なので「大丈夫かなぁ」と思いながらやったのですが。
 あれよあれよという間に、こっちが一本取られちゃった(笑)。
 その後も時間いっぱい(3分ぐらい)やらせてもらったのですが、全く相手にならず。
 いや、ヘタレアマチュアとは言え、私だって組技を習っていたし、図体はその人よりずっとでかいし、多分、筋力そのものなら、いくらなんでも私の方がある。
 しかしその人を相手にすると、それらが全く生かされない。
 もがけばもがくほど不利な状況に追い込まれる。そして身動きできなくなり、一本。
 蜘蛛の糸と闘っているような気分です。
 
 その女性、よく
「周りから『困ったことがあったら、いつでも相談に乗るよ』なんて、すんごく心配顔で言われるんですよ」
 と笑いながらぼやいていました。
 どうやら、腕にある多数のアザを見られ
「彼氏からDVを受けている……」
 と思われたようです。
 いや、これ、プロの激しい練習でできたアザなんですが(笑)。
 
 講談や浪曲でも『仙台の鬼夫婦(井伊直人)』で「見た目はおしとやかだが、実は薙刀の達人。亭主を打ち負かす」女性が出てきます。
 それらの話を聴くと、いつも、あのプロ女子選手と組技スパーをやらせてもらった時のことを思い出します。