昨日は、新橋で行われた能楽セミナー「能meets新橋」へ。
今回、私が参加したのは能『弱法師(よろぼし)』解説の回です。
講師は能楽師シテ方・林本大先生。
私が能楽に興味を持ったのは、偶然、大阪で林本先生による『敦盛』の解説を聴いてから。それ以来、何度か林本先生の能楽解説を聴いていますが、毎回、能楽の奥の深さに驚かされつつ、能楽の世界に益々惹かれていきます。
 
能には仏教に関する話も多く出てきて、仏の教えを紹介しているように思えるところ、さらには仏教バンザイなところも多くあります。
『弱法師』にもやっぱり仏教に関する事が多く出てきて、仏を礼賛するシーンも多い。「ありゃりゃ、この物語、仏教のPR能? お寺がスポンサーになってんの?」と思わされる程。
この展開だと、もしかして、ラストは「盲目の主人公・弱法師が、悟りを開き、開眼する」という、安っぽい映画や漫画やTVドラマみたいなハッピーエンドで「すごいぞ仏教! 仏教バンザイ!」をやるのか……と思いきや。
意外と素朴な「これでよかった……のか?」という、現実的な終わり方なのです。
しかし、だからこそ、含みが多く、いろいろ考えさせる結末となっている。
シテ方(主役)とワキ方(脇役)がどのように退場していくか、また、なぜそのように退場するのか……何となく観ていたら見過ごしてしまいそうなところを、林本先生が解説。やっぱり能は、他の古典芸能とはまた違う奥深さがあるなぁ。
 
林本先生が実演すると、空気感が一気に変わる。これも、他の芸能ではなかなか味わえない。
能楽堂で聴く謡いもいいけど、狭い空間で間近に聴く謡いは、ずしりと来る迫力とともに我々を能の世界へ一気に引き込みます。
 
次回は『隅田川』解説(7月16日(火)夜)。この曲の作者は、今回の『弱法師』と同じ観世元雅。
さて、次回はどんな解説を聴けるのか。楽しみです。
 
今回の「能meets新橋」については、スタッフの方がブログに詳しく記しています↓。
(当日は装束の解説もありましたが、私が参加したのは『弱法師』解説のみ)
https://ameblo.jp/nohmeets/entry-12852186335.html