あんたたちこんなの好きでしょ的なベッタベタ展開が大嫌いな私、なのに、ベタの王道である昔のテレビ時代劇『水戸黄門』等は抵抗なく観ていられることが最近になって判った、不思議だ……というのは何度も書いておりますが。
講談を聴いていても、どういうわけか私は主人公より悪役の方が気になってきます。これは時代劇でも同じで。
 
昔のテレビ時代劇では、同じ悪役俳優さんが数回後にはまた別の悪役として出てくる、なんていう事がよくあります。常連のようになっている悪役さんもいらっしゃって。
数か月前に『水戸黄門』『大岡越前』を観るようになってから
「この俳優さんが悪役で出てくると『やった~』とテンションが上がる!」
という、お気に入りの名悪役さんを何名か見つけました。
 
その中のおひとりが、藤岡重慶(ふじおかじゅうけい)さん。
 (本名は「重慶」で「しげよし」と読むそうです)
 
時代劇では「ギョロッとした目で弱者や主人公を睨みつけ怒鳴りながら現れてくる下っ端のヤクザ」など「下品で乱暴で、強きにへつらい弱きをくじく」そんな役を演じる事が多かったようです。
でも藤岡さんの演じる「ろくでもない奴」、妙に魅力的なのですよ。
ギョロ目の悪党っぷりもいいのですが、声がとても魅力的で。
ガラの悪い奴が怒鳴るような声なのに、きれいに響く。
「いい声だなぁ」と聴き惚れていたら……ん?
この声、どこかで聞いたことがあるぞ??
あれ、どこで聞いたんだっけ、どこで……と思い出していたら。
アニメ『あしたのジョー』の丹下段平の顔が浮かんできました。
「ん! もしかして……」
と思い調べてみたら、やっぱり藤岡さん、声優として丹下段平もやっていたのでした。
「ガラが悪いのにきれいに響く声」は貴重で魅力的ですからねぇ。
藤岡さん、声優としても一流だったようです。
 
藤岡さんのことが気になってネットで検索してみたら、時代劇のものより、刑事の格好をした画像の方がいっぱい出てきました。
「現場第一主義、足で捜査をする、昔ながらのベテラン刑事」役としても名優だったようで。
「こんな顔の刑事が出てくるドラマ、子どもの頃、どこかで見たことがあるなぁ」と思ったら、『西部警察』の「谷大作」も演じてらっしゃったのですね。
 
藤岡さんは、1991年に57歳で亡くなっていたそうです。
私は「元気なおっちゃん」役のイメージを持って藤岡さんを見ていたのですが、ご活躍されていた頃って、実はかなり若かったのですね。
 
藤岡さん、素敵な役を見せてくれて、本当に有難うございました。