京都大学工学部1年生が受けた「線形代数」の授業において、初回で出された問題が
「3+5=8」「3×5=15」
などの簡単な問題ばかりだったとのこと。
「ふん。今や大学生の学力はここまで下がったか。情けない」と思ってしまう人もいるかもしれませんね。
いや、これを教えてもらわないと解けない京大生はいませんよ。(笑)

 

高校の数学で習った「行列」を覚えている人ならわかると思うのですが、数学において、演算の対象は実数ばかりではなく、実数だったら当たり前のことが成り立たないものも入ってきます。
実数だと
a×b = b×a (a, b は実数) (掛け算の交換法則)
は必ず成り立ちますが、例えば、行列において
AB = BA (A, B は行列)
は必ずしも成り立ちませぬ。というか、成り立たないことの方が圧倒的に多い。

 

大学の理工学部などで習う「線形代数」では、この行列が出てきます。
我々が高校生だった頃、「行列」は高校2年用の教科書に出てきていました。
しかし今、「行列」は高校の学習指導要領から消えております。
そのため、今の大学受験生は「実数では当たり前だったことが成り立たない世界」にふれる機会がほとんどなくなっています。せいぜい、2乗したのにマイナスになる純虚数ぐらいでしょうか。
そのため、今の大学新入生にこの線形代数や、演算というものをより抽象化した代数学などを教えようと思ったら、今まで習ってきた「+」「×」などの演算のド基礎を改めて見直させておいた方が良いと思うのですよ。
そして
「我々はこれまで何を『当たり前』だと思ってきたのか。その『当たり前』はどんな場合に通用するものなのか」
を確認させてから
「その『当たり前』が必ずしも通用しない世界」
を見せていくのがいいのかなぁと思うのです。
これは大学の人文系科目でも同じじゃないでしょうか。特に哲学系なんかだと。

 

初回の授業で小学生の算数を確認した京都大学の先生にどんな意図があったのか、はっきりとは判りません。
しかし、少なくとも結果的には、現在の学習指導要領の問題点をカバーするような形になっていると思います。
やるねぇ、京都大の先生。


【「3+5=8」「3×5=15」…あれ、小学校の算数じゃ? 京都大学工学部の初回授業が話題】(まいどなニュース)
https://maidonanews.jp/article/14890776