8日(月)の夜は、高円寺の「座・高円寺」で行われた「談笑の弟子!! スペシャル」に行ってきました。
「談笑の弟子!!」は、立川談笑師匠のお弟子さん3人が毎月高円寺で行っている会です。
談笑一門の総領弟子である立川吉笑さんがリーダーシップをとり、毎回50人ほどの客数でやっています。
今回はそのスペシャル。
何がスペシャルかというと、会場がいつもの大会議室のようなところではなく、同じ高円寺とはいえ300人級のホール。

そして、スペシャルゲストがなんと立川志らく師匠!!

この会が告知され、このスペシャルゲストの名前を見た時は「ほ、本当かよ!!」目を疑いました。

立川流の二つ目では、と言うか、落語家全体の二つ目の中でおそらく最も勢いがある吉笑さんと笑二さんだけれども、志らく師匠をゲストに呼ぶっていくらなんでも無茶じゃないのか?
そして、その志らく師匠がスペシャルゲストとはいえ、いつもは50人程度の集客なのに300人級のホールでやって、さらにチケットはぴあとかのチケット屋を通さず手売りでさばくって、大丈夫なのか?

などの懸念がありました。
手売りのため、志らく師匠ファンで吉笑さんたちに接点のない人たちはチケットをほぼ買えない状態でしたが、それでもチケットは順調に売れていたようです。
私は確か9月に買ったと思うのですが、その時には真ん中より後ろの席になっていました。

そして当日。
建物の入り口には志らく師匠のお弟子さんである志ら鈴さん、らく葉さん、そして新しく入ってきた見習いさんが案内のお手伝いをしていました。
ホールのある地下に降りると、談四楼師匠のお弟子さんである寸志さんがいて、ホールのドアの入口には、これから出演する吉笑さんと笑二さんがチケットのもぎりをしていました。

そして、開演。

1.吉笑さんと笑二さんの二人トーク
2.笑笑さんの落語
3.笑二さんの落語
4.立川志らく師匠の落語
中入り(途中休憩)
5.志らく師匠と、吉笑さん、笑二さん、笑笑さんのトーク
6.吉笑さんの落語
というプログラムでした。

幕が開くと、暫く間があって吉笑さんと笑二さんの二人が舞台に出てきてトーク。
この会をやることになった経緯などについて語りつつ、そのトークで会場をしっかり沸かせていました。
笑っているお客さんもいつも以上に温かい感じがします。

トークが終わり、立川笑笑さんの『猫の皿』。
以前はズレたマクラの内容も落語本編のリズム等もイマイチで「大丈夫かなぁ」と思うことが多かった笑笑さんですが、今はズレっぷりが他の人にない妙な味になってきています。笑笑さん独特の不思議な笑いで会場をほんのりと温めていました。

次は立川笑二さんの『猪買い』。
あまりこの噺をやる人はいないようです。いつも通り大きな声でポンポンと心地よく、時折独特の毒のある笑い等をスッと入れるのはさすが。笑二さんの勢いとパワーのある落語でガンガン笑いを取り、会場はヒートアップ。

本日のスペシャルゲスト志らく師匠。
登場するなり
「何故私が呼ばれたのでしょう。キ○ガイとその弟子達とはなるべく関わらないようにしてきたのに」
という掴みの一言で会場爆笑。さすが。
ここで、二つ目さんたちが(技術的に、或いは立場的に)出来ないような大ネタを持ってきて格の違いだけを見せつけるようなことをしないのが志らく師匠。
ご自身の二つ目時代にもよくかけていた『火焔太鼓』をかけました。私も大学院生だった頃、「落語のピン」という番組で当時二つ目だった志らく師匠がこの噺をやるのを見ています。
前のお二人がやったのと同様に笑いの多い話ですが、様々な笑いや語り口の変化等を入れ、引き出しの圧倒的な多さを感じさせます。
話が進むにつれ、志らく師匠とこの会場がシンクロしているように感じてきた……ところで。
とても残念なことが起きました。
一人のジイさんがゴニョゴニョと独り言を言い始めた!!
何を言っているのかはよく聞こえないのだけれども、この噺について隣の人に何か言っているらしい。
今日は落語を聞き慣れていてマナーもしっかりしているお客さんばかりのように思えていたのに、こんな大迷惑バカが一匹紛れ込んでいたとは!
会場の看板につられて当日券で入ってきた奴かな。
近くの人が「うるさいぞ!」と叱って大人しくなったけど、気持ちが削がれ、暫く嫌な気分になりました。
そんな不快な出来事がありましたが、しばらくするとまた話にのめり込み、最後は志らく師匠のオリジナルのサゲ……をフェイントにして、古典のサゲでスパッと終わり。
おわ、また進化している。さすが。

中入り(途中休憩)後、志らく師匠と吉笑さん、笑二さん、笑笑さんの4人でトーク。
このトーク、かなり強烈なもので、会場はずっと爆笑でした。ここには書けないこともいっぱい。
吉笑さんの司会進行役も見事。上手いこと話を振りつつ、気を遣いながらも鋭い質問を志らく師匠に投げかけます。
それに対して、志らく師匠が時にはぎょっとするような、時には「おお」と思わせるような返答。その返答に対して吉笑さんたちのリアクションも見事。
志らく師匠ご自身もトークの司会進行をよくされているので、ご自身が笑いを取りつつ吉笑さんたちがリアクションを取りやすいような返答をされているのでしょう。この「阿吽の呼吸」の見本のようなキャッチボールはとても見応えのあるものでした。

そして、最後は吉笑さんの『カレンダー』。
数字がからみ、おかしな人たちがとぼけたロジックで話をドンドンこじらせていくという、吉笑さんの持ち味が込められた噺。
いつも以上に熱い高座だったように思えます。今の吉笑さんの全ての力をこの噺の中で出し切ろうとしているようにも見えました。
吉笑さんの落語は、理屈っぽくってシニカルな笑いが多いのに、何故か聴いていると切なくなってきます。
何故なんだろう……と不思議に思っていたのですが。
吉笑さんの落語は、ロジカルでシニカルな笑いを通して自分が好きなものを七転八倒しながら必死に伝えようとしているように見えて、その姿が切なく見えるのかな、なんて思っているところです。
志らく師匠の後でかなり大変だったと思いますが、それでもしっかり笑いを取って、終演。

いやぁ、凄い会だったなぁ。

企画を知った時には「無茶だろ!」と思っていましたが、その無茶をしっかりこなした吉笑さんを始めとする3人に、あらためて敬意を表します。おそれいりました。

そして、忘れられない素敵な会にしてくださった志らく師匠、有難うございました。

吉笑さんの日記「談笑の弟子!スペシャル」
http://tatekawakisshou.com/2014/12/10/%E8%AB%87%E7%AC%91%E3%81%AE%E5%BC%9F%E5%AD%90%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%AB/