「スーパーマン リターンズ」(2006年)をご紹介します。監督はブライアン・シンガー。
"Superman Returns" Photo by Supplanter Protector
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スーパーマン(ブランドン・ラウス)が突然消息を絶って5年。
その間に世界は一変し、犯罪は多発。
レックス・ルーサー(ケヴィン・スペイシー)も釈放されます。
一方、墓場となった故郷クリプトン星を目の当たりにして孤独感を再認識した失意のスーパーマンは地球に帰還。
養母のマーサ・ケントは「あなたは独りじゃないわよ」とスーパーマンに息子クラーク・ケントとして優しく語り掛けます。
クラークがメトロポリスの新聞社デイリー・プラネットに戻ると、愛するロイス・レイン(ケイト・ボスワース)には婚約者とひとり息子がいました。
クラークはショックを受けます。
物語はスーパーマンとロイス、ロイスの家族との微妙な関係とルーサーの悪巧みが並行して進行します。
本作はリチャード・ドナー監督&クリストファー・リーヴ主演による往年の名作「スーパーマン」「スーパーマンⅡ/冒険編」に続く物語。
ジョン・ウィリムズ作曲のテーマ曲も美術デザインも引き継いでいますね。
しかし、本作は何といっても全編にわたる映像の美しさでしょう。
「スーパーマン」第一作でスーパーマンがロイスの手をとり夜のメトロポリスを飛ぶ名シーンがありました。
本作でもメトロポリスの夜景をスーパーマンとロイスがランデブーするシーンが観られます。
このシーンは特に素晴らしい美しさで、ロマンティックの極みです。
70、80年代から各段に進歩した特撮の進歩は目を見張るものがありますね。
スーパーマンの孤独感はこのお話の神髄です。
でも孤独だからと言って道を踏み外さないスーパーマン。
彼の指針とは亡き父ジョー=エルであり、養父母のケント夫妻の姿なんです。
そのイメージは彼を正しい道に導く個人の神話です。
スーパーマンを神の子的存在としてイメージしたシーンがよく登場しますね。
車を持ち上げて人助けしたり。
ギリシャ神話の英雄譚を現代に焼き直した姿です。
"Superman Returns" Photo by yotambientengosuperpoderes
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ジョー=エルが言うように、人間は欲望に駆られやすく、弱いので悪の道をまい進しかねない危うさが常にあります。
そのときに人が良心を保つために参照するのが個人の心の中にある神話的イメージです。
神話なき現代の神話、それがスーパーマンの物語なんですね。
本作はバトルシーンが少ないので、アクションを期待した方はがっかりでしょうけども、僕はとてもよかったと思いました。
当初予定されていたシリーズ化が流れたのは残念ですね。