コーエン兄弟のブラックコメディ「バーン・アフター・リーディング」（2008年）をご紹介します。
"burn after reading" Photo by mandyseyfang
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CIA分析官のオジー（ジョン・マルコビッチ）は飲酒問題から解雇されてしまいます。
オジーはCIAの暴露本執筆を考え、パソコンで下書きを書き書き。
妻のケイティ（ティルダ・スウィフトン）は離婚に備えてこっそりオジーのパソコンから彼の財務状況のデータをCDにコピー。
ところが旦那の暴露本の下書きも一緒にコピーしていました。
ケイティはそれに気づかず、しかもスポーツジムのロッカーに忘れてきちゃう。
スポーツジムの従業員チャド(ブラッド・ピット)とリンダ(フランシス・マクドーマンド)は落ちていたCDを手にし、それが極秘情報だと思いこむ。
で、オジーに金を要求する。
財務省の元警護官ハリー（ジョージ・クルーニー）はケイティと不倫していますが、妻が出張に出た隙に出会い系サイトでリンダと付き合い始めます。
ハリーはやがて自分を監視しているらしき人間に気づく。…
"burn_after_reading" Photo by Karo Shaginyan
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オジーは自分が悪いのに、逆恨みの腹いせ＆金のために暴露本なんかを書こうとしている(肝心の出版のアテは無し)。
ケイティはハリーと再婚したいけど、ハリーはエロのことしか考えていないドアホウ男で、リンダにも手を出す始末。
リンダは「出会い系サイトで条件の良い男をゲットするには全身整形しかない」という考えに囚われている。
しかし、それには大金がいる。自分の稼ぎではムリだ…と嘆いていたら何やら重要情報らしきCD(思い込み)を偶然ゲット。
でもそれで大金をせしめようというのは…。
チャドは画に描いたような脳筋で、リンダに言われるまま危険な作業をド素人丸出しでやってしまう。
リンダに片思いのオーナーもね、ずっと相手にされてなかったのに、困った時に頼られてむげに出来ず…。
中年以降のこういうのは特に哀しい。人生経験を積めば賢明になるというのは神話ですが、こと色恋に関しては人は成長しないのでしょうか？…。
登場人物たちそれぞれの思惑がちょっとづつズレて行くんですね。
で、そのズレが段々どえらい勘違いになってゆく。
そして驚愕のラストへと雪崩れ込む。
小さな小さなバタフライエフェクト？と衝撃の結末は本作でご確認下さい。
豪華キャストです。が、みんな格好悪い！
そして誰一人として賢い人が登場しない。
と言いますか、俗っぽいんです。
コーエン兄弟は人の愚かしさを可笑しくみせているんですね。
哀れだったり、身に覚えがあるとか、人間の欲望のお話ですから、「人間だもの」ということか。
だとしたら笑うに笑えないブラックコメディですね。
ま、シニカルでちょっと乾いた笑いはコーエン兄弟らしいな～と。