今回は異色のホラーコメディ「ジェニファーズ・ボディ」(2010年)をご紹介します。
"Jennifer's_Body_1013200933336PM273" Photo by tricks ware
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舞台はミネソタ州の田舎町。
学園一の美女ジェニファー(ミーガン・フォックス)と内気で冴えないニーディ(アマンダ・セイフライド)は幼馴染みの親友同士。
2人はジェニファーが追っかけの無名バンドのライブに出掛けるが、アクシデント発生。
ジェニファーはバンドメンバーと何処かへ消える。
その晩をきっかけにジェニファーは益々妖艶となる。
同時に学園で凄惨な事件が連続して起きるようなる。
バンドメンバーのせいで悪霊に取り憑かれたジェニファーは、その美貌をキープするために男子生徒を誘惑しては捕食していたのだった。
ジェニファーの秘密を知ったニーディは、ボーイフレンドを守るためにジェニファーと闘う決意をするが…というお話。
軒並み低評価な本作。確かにB級映画です。
結果的にB級になったのか、あえて狙ったのかは定かではありませんが…。
本作を観てまず思ったのは「不思議な映画だ」ということ。
凄惨な描写はあるからホラーっちゃホラーなんですけど、皮肉や風刺を込めているっちゃ込めている。
音楽は(当時の)ティーンが好きそうな曲ばかりで、ポップっちゃポップ。
ポスターから連想するようないわゆるエロティックホラーではありません。
イケてるジェニファーが冴えないニーディといつも一緒なんです。
思春期の親友同士っていつもベッタリなところがありますが、ジェニファーとニーディもそう。
最初は「ジェニファーは自分を引き立たせるためにニーディとつるんでいるのかな?」と思ったんです。
でも違っていて、ジェニファーはニーディを本当に好きだったんですね。
その「好き」という感情は、ニーディへの友情を超えて恋愛感情なんだ、と思いました。
それが窺えるようなジェニファーのニーディに対する言動がちょいちょいあるんです。
しかし、ニーディはジェニファーを親友以上には見ていません。
ジェニファーの気持ちとニーディの気持ちがすれ違っているんですね。
ジェニファーがニーディの彼氏に狙いを定めるのも、三角関係における嫉妬心からとも思えます。
本作をジェニファーの叶わぬ恋と悲劇と観ると、序盤のライブハウスでニーディが取り憑かれる前のジェニファーに手を握られるシーンも印象が変わります。
ジェニファーに手を握られてニーディは嬉しそうに笑みを返す。
でも、ジェニファーは恋愛感情、ニーディは友情。
このシーン、ジェニファーの切なさを感じた次第です。
どちらかが恋愛感情を抱くと友人関係が破綻する場合が多いですよね。
難しいんです。すれ違いは恋愛における悲劇の元。
そういうわけで「ジェニファーズ・ボディ」は異色の青春映画なんですね(だと思う)。