「バニー・レークは行方不明」~愛と執念の光と影 | ネコ人間のつぶやき

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 今回はミステリー「バニー・レークは行方不明」(1965年)です。

 

 アン・レーク(キャロル・リンレー)は娘のバニーを保育園に預けた初日、迎えに行くと娘の姿が消えていた。しかも保育士たちは皆口をそろえて「そんな子は知らない。記録にもない」と言う。・・・

 

"CDV01004 Bunny Lake is Missing" Photo by Press Publish

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 未婚の母であるアンは、娘のバニーと共に兄のスティーヴンを頼ってアメリカからロンドン越してきたばかり。なので一人も知人がいません。

 

 アンの兄スティーヴンはアンと一緒にバニーの心配をします。

 

  保育園の階上に住む老女は保育園の元オーナーで、多くの幼児の悪夢を録音して聴いて過ごしている人物なんです。

 

 スティーブンは、この風変わりで妖しい老女に「アンは、子どもの頃『空想の友達』がいて、名前をバニーとつけていた」と話してしまう。

 

 老女は「孤独な子にはよくあることよ」と言いつつも、ニューハウス警視(ローレンス・オリヴィエ)にこの話をします。

 

"vlcsnap-8563321" Photo by Sheila Y

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 アンが家で独り悩んでいると、突然家の大家が入ってきて、アンに言い寄る。

 

 この男は下手な歌なのになぜかテレビに出ており、自宅には鞭やら妖しいお面などが収集されているのです。

 

 そしてバニーの人形を直しに出しだ「人形の病院」のオーナー。

 

 アンが感じる「ゾクッ」とした不安とか恐怖が観ている者にも伝播してきます。

 

 倒錯した人が次々と登場して誰が犯人かわからなくなってくるんですね。

 

 そしてニューハウス警視は、失踪した娘はアンの空想なんじゃないか、と疑いだす。

 

 アンは娘がいる証拠に、と自宅に子ども用品を取りに帰るのですが、全部無くなっているのです。

 

 アンは「盗まれた」と言いますが、警視は疑念を益々抱く。

 

 実際、バニーの姿を誰も(映画の鑑賞者も)観ていません。

 

 バニーはアンの空想?それともアンの言う通り犯人がいるのか?・・・

 

"NTF" Photo by Père Ubu

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  ヒッチコックの「バルカン超特急」、ジョディー・フォスター主演「フライトプラン」が頭に浮かびますね。

 

 「バルカン超特急」は行方が分からなくなるのが乗り合わせた老婦人でした。

 

 「フライトプラン」は母の愛と執念で娘を探す物語でしたが、本作も母親が愛娘を探す、母の愛と執念なんです。

 

 本作では母の愛だけでなく、歪んだ愛の姿が描かれています。

 

 愛は愛でも倒錯した愛の怖さが背筋にゾクッとさせる演出でもって描かれているんですね。

 

 「バニー・レークは行方不明」は、自分を信じること、愛とそのパワー、そして執念と執着について考えさせられるミステリーとなっています。