「胸騒ぎのシチリア」(2015年) | ネコ人間のつぶやき

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 今回はアラン・ドロン主演「太陽が知っている」(1969年)のリメイク「胸騒ぎのシチリア」(2015年)です。

 

 ロック歌手のマリアン(ティルダ・スウィントン)と年下の恋人ポール(マティアス・スーナールツ)は、シチリアのパンテッレリーア島で優雅な日々を送っていた。そこへマリアンの元カレで音楽プロデューサー・ハリー(レイフ・ファインズ)が娘のペン(ダコタ・ジョンソン)と共にやって来て・・・。

 

"A Bigger Splash Review" Photo by BagoGames

source: https://flic.kr/p/HuACRh


 相変らず自堕落でお喋りなハリーは、マリアンと復縁するために来たことがバレバレです。彼はそれを隠そうとしていません。

 

 マリアンは優しくて誠実なポールに少々退屈を感じていたところに現れたハリーとの間で気持ちが揺れ出す。

 

 そして1年前に娘だと分かったというペンは、ポールに興味を持つのです。

 

 一方で、ペンとハリーの関係も親子かどうか分からない雰囲気がある。

 

 マリアンは皆をかきまわす小悪魔なペンに嫉妬を感じるのです。こうして複雑な四角関係が悲劇へと転がる布石となるのです。

 

 欲望は生きるうえでのエンジン・エネルギーの一つですけども、難しいのは、欲望はしばしば暴走するということですね。

 

 そして人というものは実際はよくわからないもので、時にぞっと思わせる謎があることも。

 

 あまりに美しい青空と島。パラダイスのような自然の中で欲望のままに戯れる男女が、ミスマッチとか滑稽であることを通り過ぎて段々どうにもならない異物に見えてきてしまいます。

 

 美しい自然が背景でないと観てられない、そういう人の欲望を皮肉を込めて描いたお話にも感じますね。