「おしゃれ泥棒」にハートを盗まれたなら | ネコ人間のつぶやき

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 「おしゃれ泥棒」(1966年)は、オードリー・ヘプバーンと「アラビアのロレンス」のピーター・オトゥール主演で贈るパリを舞台に令嬢と探偵の泥棒コンビが恋をするロマンティックコメディです。

 

"ZRF4" Photo by Raoul Luoar

source: https://flic.kr/p/aUVq96

 

 ニコル(オードリー・ヘプバーン)は贋作画家シャルル・ボネの一人娘。父親思いのニコルはシャルルの悪事がいつバレるかと心配していた。

 

 ある晩シャルルのコレクションを疑った美術商に雇われた探偵サイモン(ピーター・オトゥール)が内偵のためシャルル邸に忍び込む。しかしあっさりとニコルに見つかってしまったサイモンはとっさに自らを泥棒と偽る。

 

 後日ニコルは、美術館から父が貸し出したビーナス像を盗むようサイモンに依頼する。

 

 それは美術館がビーナス像を鑑定に出すため、このままでは父が捕まってしまうからである。サイモンはニコルの依頼を引き受けることに。・・・

 

"HOW TO STEAL A MILLION 021" Photo by MyLifeInPlastic.com

source: https://flic.kr/p/6V7gBj

 

 ニコルは優しくて無垢な女性です。無垢(イノセンス)はオードリー・ヘプバーンのイメージの一つですが、人はイノセンスに憧れ、恋焦がれるもの。

 

 一方、サイモンは一見ちょっとテキトーで、それでいて知的な雰囲気の謎めいた男。

 

 初対面のニコルに送ってもらって別れ際に「僕は普段はこういうことしないけど・・・」とキスをする。

 

 慣れている男のセリフですが、サイモンのニコルへの恋心は本物なのです。

 

"audrey_hepburn-1" Photo by veronica Romm

source: https://flic.kr/p/4exrgt

 

 本作の監督ウィリアム・ワイラーは「ローマの休日」の監督でオードリーを見出した人です。

 

 「ローマの休日」はひょんなことから出会った王女と新聞記者の恋物語でしたが「おしゃれ泥棒」も全く違う世界に住む男女が運命的に出会い恋をします。

 

 こういうプロットに人が心奪われてきたのは時代を問いませんね。

 

 泥棒と令嬢のロマンス。「泥棒成金」や「ルパン三世/カリオストロの城」もそうでしたが、名作が多いのもこのジャンルの特徴ですね。

 

 ドロボーさんは令嬢にハートを盗まれ、令嬢もまた・・・というお話です。

 

 「カリオストロ」のラストで銭形のとっつあんがクラリスに語った名台詞を思いだしちゃいます。

 

"Z020" Photo by Raoul Luoar

source: https://flic.kr/p/aUVf7K

 

 原題は「How To Steal A Million」。ビーナス像=100万ドルを盗む方法、という意味ですね。

 

 それよりは邦題の「おしゃれ泥棒」の方がオードリーのイメージと作品の世界観に合っていると思います。

 

 おしゃれと恋の都パリでハートを盗み盗まれた男女のお話なのですから。