「ナイト・マネジャー」はトム・ヒドルストン主演の本格的なスパイ・サスペンスです。シーズン2の制作が決まっているそうですよ。
原作のジョン・ル・カレと言えば「ナイロビの蜂」、「寒い国から帰ってきたスパイ」、「裏切りのサーカス」の原作でも知られる英国文学界の大御所として有名です。
"The Night Manager" Photo by Brenda Rochelle
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元軍人でカイロのホテルのナイト・マネジャー(夜間支配人)ジョナサン・パイン(トム・ヒドルストン)は地元の有力者・ハミドの愛人ソフィーと親しくなる。
ソフィーに手渡された資料からハミドと悪名高い武器商人ローパー(ヒュー・ローリー)の違法な武器の取引を知ったパインは、国際執行機関に通報するが、情報が洩れてソフィーが命を落としてしまう。
4年後、スイスでパインは偶然ローパーと再会。国際執行機関のアンジェラ・バー(オリヴィア・コールマン)に誘われてパインはスパイとなり、新たな名前と身分を得てローパーに接近する。
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一番惹かれてはいけないローパーの愛人ジェドと愛し合うパイン。ソフィーといい、パインは危険を愛する男らしい。
ローパーの信頼を得て大きな仕事を与えられたパインは「覚悟は出来てるんだろう?」とローパーに言われて「ええ、とっくに」と答えるのです。
この時ローパーは気づいていませんが、パインは『ソフィーを失ったあの日に覚悟はできている』という意味で答えたのですね。
パインは極悪人ローパーにさえ「経歴がムチャクチャだ」と言われますが、1つの信念がずっとブレていないのですね。これを言っちゃうとドラマの楽しみが減るのでここでは書きませんけども。
誰もが裏切り合う世界にあってパインとバーの信頼は固い。彼らはそれを「信仰」と表現する。
誰も信用できない世界にあっては奇跡的な絆ですし、周りが疑っても二人は互いをとことん信じるからですね。
求めて得た絆ではないのです。でもこういう貴重な出会いが生きていればある、ということですね。
人間の生き方、それを決める個人の価値観、欲望を通じて人間という存在をスリリングに描く「ナイト・マネジャー」なのです。