今回は「仕立て屋の恋」(1989年)です。「髪結いの亭主」ので有名なフランスの名匠パトリス・ルコント監督がサスペンスを見事なロマンスに仕立て上げました。
"MH-0056.png" Photo by Rachel Martorell
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イール(ミシェル・ブラン)は孤独な仕立て屋。彼は秘かに向かいのアパートに住む美女アリス(サンドリーヌ・ボネール)を窓越しに見つめていた。
ある日近所で殺人事件が起き、刑事は前科者のイールを疑う。一方アリスはイールの存在に気づき、彼が事件の真相を知っているのか確かめるべく突然イールの部屋を訪ねる。・・・
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アリスが部屋にやって来たのは当然魂胆があるわけですね。イールはそれを見ぬいているけど、彼女に惹かれている。
そしてアリスに恋人がいることも承知で彼女との距離を近づけるイールは夢を見て、それが叶うと思ってしまうのですね。
冴えない中年男に突然降ってきた恋。「ああ、イールやめとけ」とは思えども、彼を軽蔑はできないのでは、と思うのです。
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イールは純粋すぎた気がします。イールと暮らしていたハツカネズミ達のように。哀れな男の悲しさかな・・・。
「恨んではいない。ただ、死ぬほど悲しいんだ」。このイールの語りにつきます。
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イールを翻弄する魅惑的な美女をサンドリーヌ・ボネールが演じています。
パトリス・ルコントはスリリングで残酷、かつシニカルな男女の関係を見事に演出しております。音楽はマイケル・ナイマン。この顔ぶれですから納得です。