今回は「美女と野獣」(1946年)です。監督はジャン・コクトー。コクトーは絵画・小説・評論等あらゆる美術分野でマルチな才能を発揮した人物で、20世紀初頭パリに集っていた天才芸術家達との交友でも有名です。
"Royalty" Photo by Meagan Fisher
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破産した商人の末娘ベル(ジョゼット・デイ)は二人の姉にこき使われていた。
ある晩商人が森で迷い、館でバラを1本盗んでしまう。すると館の主人である野獣(ジャン・マレー)が現れる。
野獣は商人に死か、あるいは身代りに娘の一人をよこすか選択を迫る。父の話を聞いた心優しきベルは野獣の元へ・・・。
"Watch you dine" Photo by Meagan Fisher
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ジャン・コクトーは「美女と野獣」を初めて実写化しましたが、この作品の公開が第二次世界大戦終戦の1年後です。その年にこのクオリティ。驚きです。
コクトーの美意識がいかんなく表現されており、美術セット、小物に至るまですべてが美しいのです。下のセットも素晴らしいですね。
"Belle's Boudoir" Photo by Meagan Fisher
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そして斬新なカメラワーク。アイディア満載の特殊効果。これらがこのダーク・ファンタジーを美しく仕上げています。
特にラストシーンの美しいこと!「はぁ~・・・」と見惚れてしまいます。
"Ascension" Photo by Meagan Fisher
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ベルの姉や兄、兄の友人のように物への愛は執着と化します。醜いだけでなく恐ろしいのですね。
愛は人生を豊かにしますし、すべての基礎となるものですね。そしてベルと野獣のように愛が相手を暗闇から救い上げるもの。
いずれにしろ、きっと愛とはこの映画のコクトーの魔法のごとき演出のようなものですね。もし無いならこの世界は何て味気ないことか。
"La Belle et la Bete" Photo by Karen
source: https://flic.kr/p/AStcn
「愛は人を醜くもするし、醜い者を美しくもする」。この言葉にテーマが集約されております。
ジャン・コクトーの魔法に心奪われ至極の時間を堪能できます。まさに銀幕のファンタジー、美の世界です。