「きみに読む物語」(2004年)はニコラス・スパークスの小説を映像化した名作です。今回はこの作品からお話を。
療養施設に入所している過去を思い出せない認知症の老婦人(ジーナ・ローランズ)に物語を読み聞かせる老人・デューク(ジェームズ・ガーナー)。
そのノートに書かれた物語は1940年のアメリカ南部の田舎町から始まります。
材木場で働く労働者の青年・ノア(ライアン・ゴズリング)は、ある夏に別荘にやってきた富豪の娘・アリー(レイチェル・マクアダムス)に一目惚れして猛アタックし、二人は恋に落ちます。
しかしアリーは両親にノアとの身分違いの恋を猛反対され、二人は引き離されてしまい…。
ノア(ライアン・ゴズリング)とアリー(レイチェル・マクアダムス)
"Ryan Gosling and Rachel McAdams" Photo by friskytuna
source: https://flic.kr/p/5YNgGJ
アリーは何不自由ない環境で育っています。でもアリーは大切な自分の将来を一人で決めることを許されていません。だから実は不自由なのですね。そんなアリーは「私の前世は自由な鳥」と言うのです。
一方、ノアは父子家庭で貧しい暮らしです。ノアは物質的には制限があるから不自由ですが、彼は誰にも侵されない自由な心を持っています。
何もかも違う二人。違うことって魅力であると同時に喧嘩の元にもなる。
実際ノアとアリーは会えば喧嘩をする。でも、99パーセントが違う二人は大事な1パーセントを共有している。
だからノアはアリーにこう言います。「僕は努力したいんだ」。
とにかく優しい。優しいって軟弱ってことでは決してなくて、強さなのですね。
"thenotebook" Photo by Geoffrey Chandler
source: https://flic.kr/p/YVf7
映画はデュークの内言から始まります。「私は平凡な男だ。後世に名を残すこともない。・・・でも一つだけ誰にも負けないことがある。それは一人の女性を命がけで愛したこと。私にはそれだけで十分だ・・・」。
「この世に不変なものなど何もない」とよく言われます。すべては変わるものだ、と。
そして同時に「愛とは流れ星のようなものだ。燃え尽きて流れて消える。でも燃えかすから再び火が燈ることもある」。
運命の相手をそれこそ命がけで愛し続ける気持ちはこの世で希少な不変なものなのでしょう。
科学では説明不能なこと-奇跡というものは願っても起きるかどうかはわかりません。でも願い続けて行動し続けなければ奇跡は起きませんね。
ニコラス・スパークスの小説は「メッセージ・イン・ア・ボトル」、「セイフ ヘイヴン」等多く映像化されていますが、私は愛とその奇跡を描く彼の物語が好きですね。
「セイフ ヘイヴン」についてはこちら→ 「愛とその奇跡について」