クリスマスは もう来週ですね。今回はリュック・ベッソン監督作「アンジェラ」(2005年)です。
セーヌ川から身を投げようとする、何をしてもうまくいかない人生に絶望した男・アンドレ(ジャメル・ドゥブース)。アンドレより先に身投げしたブロンド美女・アンジェラ(リー・ラスムッセン)を夢中で救ったアンドレ。アンジェラはアンドレを災難から救い、やがてなぜアンドレの前に現れたかを明かします・・・。
アンドレ(ジャメル・ドゥブース)とアンジェラ(リー・ラムセン)
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アンドレは自分を醜く価値がない男と認識しているのです。実際、うまくいかない人生は彼の場当たり的な短絡さや人付き合いの悪さもあるんですね。
そんな彼にアンジェラは「あなたは私。大事なのは内面」と出会い頭に言う。アンドレは彼女にからかわれているのか?と当然思うんですね。
でも、今までアンドレが避けてきた、己の内面にアンジェラは導くんですね。決して批判せずに。確かに、時にアンジェラは厳しい言葉もアンドレに言いますが、そこに批判が全く込められていないんです。
アンドレのように愛を知らずにきた人間は、つい、不完全な人間と関わって憎しみあうことを楽しみ、負のスパイラルに堕ちる傾向があります。
でも、中には傷ついたその心に誰よりも繊細で敏感な優しさの持ち主もいたりしますね。それは例えるならば、心の中に宝物が深く埋もれたままで自分では発見できない状態です。
そんな時、もし誰かがその宝物に気づかせてくれたなら?。人生は大きく変わるでしょうね。怨みや憎しみから解放されて、代わりに愛や憐れみ、赦しを示す人間に。
そのためには、まずは自分の心に埋もれた宝物を発見し、自分を赦し、いたわり、愛せれば・・・。でも自分ひとりでは難しい。
でもご縁的なミラクルで、それに気づかせ、導く存在が現れることもあるんですね。そういう出会いを大切に・・・。
"Angel-A" Photo by rick
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この作品は、傷ついているけれど実は優しい者同士しか分かり合えない大切な世界がある、という初期のリュック・ベッソンの作品に通じるテーマでもあったように思います。こういう映画を撮らせたらリュック・ベッソンは流石だなあ・・・と改めて思いました。
全編モノクロームの映像は、フイルム・ノワールを彷彿とさせてスタイリッシュ。でも、とっても素敵なラブファンタジー。
原題は「ANGEL-A」。タイトルからも今作のリュック・ベッソンは粋だなあ、と思いましたね。