アカデミー賞を7部門で受賞した『オッペンハイマー』
3時間の長編で、過去と現在を行ったり来たりで一回観ただけで分かりにくい…
そのこと自体がオッペンハイマーの心の混乱を表す仕掛けなのかもしれないが…
オッペンハイマーも心を病んでセラピーを受けていたようで「フロイト派か、ユング派か」と人から問われる場面も…
アインシュタインと出会う場面があるが、
アインシュタインの帽子は飛ばされて、
帽子を深く被ったオッペンハイマーが近づく…
帽子には無意識的なペルソナ(仮面)としての役割があるような…
何かを隠している???
罪悪感…欲望…プライド…敵意…人種差別…
『カサブランカ』みたいに渋くカッコいいモノクロ映画????
いやいや、広島・長崎の爆心地の映像のないこの映画には日本人として根本的な疑問を感じる。
原爆投下は必要だったと言いたいのか…
ウクライナ、イスラエル情勢が緊迫しているこの時期に、このような映画を公開することには何か意図があるのか…
興行収入はどこにいくのか…
オッペンハイマーはソ連のスパイではないかと疑われて、公聴会にかけられる…
オッペンハイマーも利用されたのかもしれない…
物理学者の保江邦夫氏より聞いた話ですが、
戦後、オッペンハイマーは日本を訪れ、学者仲間の湯川秀樹の紹介で、広島で被爆した浄土宗の山本空外上人に出会う。
そして、その“光明思想”に感銘を受けて、上人に帰依したいと願い出たが…
上人は「あなたはアメリカ人だ。この光明派の思想は日本人ではないと分からない」と言ってオッペンハイマーの申し出を断ったという。
『オッペンハイマー』は、オッペンハイマー個人がどうのこうのということではなく、西洋の物質文明の隠された暗部を感じさせる映画。