自殺者の救助をテーマにした映画「曙光」

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日本の自殺者数は平成23年に3万人を下回り、来年は2万人を下回るのではといわれ、減少傾向にはあります。

しかしながら、それにしても1日50人以上の人々が命を絶っているのです。

映画「曙光」は、娘を自殺で亡くした母親が、山奥に施設を造り、自殺志願者を救助する物語。

この話のモデルは、南紀白浜で自殺者の救助をやっているキリスト教会の実在する牧師夫妻の活動でありますが、映画の設定においては宗教色はすべて消されています。

主人公文絵は「ハートビート」という山間部で自給自足の生活をする小さなグループ組織を作ります。

そして、365日24時間体制で「これから死にます」という電話を受けると、車で現場に駆けつけ、ハートビートに連れてくるのです。

文絵は娘を亡くした自らの心の傷を癒すために自己流の救助活動しているようで危うい感じがします。

案の定、自己犠牲的、共依存的な人助けは、立て続けに破滅的な事件を引き起こすことになるのです。

この映画はあくまでもフィクションであり、現実的にはかなり無理な話でしょう。

しかし、私の頭の中では整理しきれませんが、監督はあえてこのような設定にしたような気がします。

文絵は、深夜の東京湾でまさに自殺を決行しようとする人に静かに近づき、おむすびを手渡す。

そして、救助されハートびーとにやってきた人々は肩を寄せ合いつつ、質素ながらも暖かな食卓を囲む。

生きるということは、難しい理屈ではなく、食べるということなのです。

さらに、仕事が決まり、ハートビートを離れていく若者に「ダメだったら、いつでも戻ってきていいのよ!!!」と叫ぶ文絵。

表面的には宗教色のない映画ですが、多少深読みすると、文絵の不安定な心のゆらぎの背景に、最後の晩餐、アガペーの愛というものを想起させる作品かなと感じました。



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