上山競馬場の痕跡をたどってみた | 地方競馬に行かなくちゃ!

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主に地方競馬のことを書きます。

去る11月23日、ヨミガエる勤労感謝の日のことです。

午前10時ちょっと前に、JR武蔵野線が南浦和駅に着く少し手前の車窓から、浦和競馬場行きの無料送迎バスに乗ろうとする人たちの姿が見えました。

当日のメインレースは浦和記念でした。いつもなら、私も南浦和駅で降りてバスに乗り、浦和競馬場に行くところです。しかし、この日の私の目的地は、もっともっと、ずーっと先にあるのでした。

 

南浦和のひとつ先の武蔵浦和駅で埼京線に乗り換えて大宮駅へ。

そして、新幹線のホームへと…、

 

いまどきの新幹線はカラフルなんですねー。

昔は、青い光の超特急~♪ってきまってたんですが。←いつの時代じゃ…

これなんか、グリーンの新幹線と赤の新幹線がドッキングしてるんですよ! 行先によって途中で分かれるようですね。そんなの常識ですかそうですか。知らんかったのは私だけか…

 

こんなのもいた。

 

私が乗ったのはこれ。スマホのカメラのシャッターが切れるまでに新幹線が近づき過ぎて、こんなどアップになってしまった…。

 

こんなに近くで、こんなにいろんな新幹線を見るのは初めてだったんで、思わず写真を撮りまくってしまいましたが、思えば、新幹線に乗るのはおそらく5年ぶりなのでした。

そして、そんな新幹線慣れしていないドシロートの私は、この時点ですでに、ふたつの失態を犯していたのです…。

 

ひとつ目は…、これから乗るはずの新幹線の出発時刻を脳内で勝手に7分遅らせてしまい、10時26分発なのに10時33分発だと思い込んでいて乗り遅れた…!

幸い、指定席でなく自由席の特急券を買っていた(つもりだった)ので、次の新幹線に乗ることにしましたが、そのために約50分のロス…。

おかげで、いろんな新幹線をたっぷり見れたし、写真も撮れたというわけです…。

 

そして、もうひとつの失態は…、

乗車券と新幹線の特急券を買ったつもりが、まちがえて乗車券と乗車券を買ってた…。

なぜそうなったのかには一応理由があるんですが、説明がややこしくなるので省略します。

 

そして、さらに困ったことに、乗車券2枚では通れないはずの新幹線の改札口が、なぜか通れてしまったんですねー。

おかげで、私は何も知らぬまま新幹線に乗り、どうもこのキップはおかしーなー?とようやく気づいたのは、すでに降りる駅が近づいてきた頃でした。

駅で事情を説明して、結局、特急券と乗車券の差額を払い戻していただいたのですが、JRの職員の皆様、お忙しいところお手数をおかけしてホントにすみませんでした…。

 

 ◆    ◆    ◆

 

しかし…、新幹線速っ!

大宮から1時間余り乗ったかなーというあたりで…、

 

トンネルを抜けると、そこはもう雪国だったのでびっくらこいた!

この先はずーっとこんな感じなの?と思ってビビりました。

厚手のフリースとダウンベストだけじゃ絶対無理だわ、これは…。

 

しかし、平地に下りていくにつれて、雪景色は去ったのでひと安心。

本当は、最初に赤湯という駅でいったん降りて、新横浜ラーメン博物館に出店している龍上海というラーメン屋さんの本店に行きたかったんですが、新幹線乗り遅れのために時間がなくなったので断念。無念…。

 

そして、やってきたのはここです!

 

地方競馬ファンならば誰もがご存じの、山形県上山市。上山競馬場があった町です。

私は、1991年の夏に一度だけ上山競馬場にきたことがありまして、実に27年ぶりの再訪となりました。

しかし、ここにはもう、競馬場はありません。

上山競馬場が廃止されたのは2003年ですから、私が訪れた12年後、今から15年前のことでした。

 

現在、かつて競馬場があった場所の近くにあるのは…、

 

ニュートラックかみのやま。南関と岩手競馬の場外馬券売り場です。

以前は旧競馬場のスタンドを利用した施設でしたが、2013年に、厩舎地区だった場所にこの施設を新築し、移転したとのことです。

 

まずは、来場記念に浦和記念の馬券を買ってみました。

このタイプの馬券は初めて見るかも。全体的にちょっと字が小さいですね。

 

浦和記念は、本気馬券もネットで買いましたが大ハズレ…。

いつものように地方馬びいきの買い方だから、地方馬が絡まなかった時点でギブアップなのは仕方ないんですが…、

田辺騎手はJRAの中では好きな騎手だし、地方場所でもときどきいい仕事をするんですよねー。ここが狙い目でしたか…。

 

それはさておき…、上山競馬場で私が思い出すのは、蔵王連峰を望む風光明媚な競馬場だったことです。

しかし、この時点ではまだ、蔵王の山並みは、大部分が雲に隠れて見えませんでした。

で、場外のまわりをうろうろして、競馬場の痕跡を探ってみることにしました。

 

県道をはさんでニュートラックかみのやまと向かい合っている、この東和薬品なる会社の工場が、どうも競馬場の跡地に建てられたものらしい。ジェネリック薬品をつくっている工場のようです。

そして、県道からこの工場へのアプローチになっている…、

 

この道路!

奥のほうに見えるカーブの形が、いかにも競馬場っぽいではありませんか!

 

カーブのところまで歩いて行くと、こんな感じ。

上山競馬場は右回りでしたから、ここは、スタンド前の直線から1コーナーにさしかかる部分のように見えます。

そうなるともう、歩車道境界ブロックの上に立っているあの棒(名前がわからん…)や道路標識も、ラチやハロン棒に見えてきます。競馬脳ですな…。

 

帰宅後に、ウィキペディアや東和薬品のホームページ、国土地理院のホームページで閲覧できる過去の航空写真などを見くらべてみたところ、私の想像は、当たらずとも遠からずというところでした。

この道路は、どうやら、かつての競馬場のコースそのものではないのですが、

東和薬品の工場の敷地がかつての本馬場なので、それを取り囲んでいる道路が馬場を連想させる形になっている、というのが正解のようです。

 

道路の直線部分は、おそらく競馬場のスタンドか、あるいはスタンドとコースの間の、観客が立って観戦するスペースだったと思われます。

スタンドが場外馬券売り場になっていた時代は、この道路の直線部分はまだなくて、道路は上の写真の右側にそれていき、スタンドをぐるっと迂回する道になっていたことが、航空写真で確認できました。

工場が完成したのが2012年ですから、工場の建設と旧スタンドの解体、場外の新築と移転、道路の整備等の工事が、おそらく同時進行で行われたのでしょう。

 

そして、道路のカーブの部分の外側には…、

 

以前は馬場内にあったという馬頭塔と、上山競馬の開催に尽力した人たちの慰霊碑が移設されていました。

 

めちゃシンプルだけど、耳のとこだけやけにていねいに彫ってあるお馬さん。

 

ちょっとわかりにくいのですが、黒い柵の内側にわずかに見える工場内の道路が、外の道路とシンクロして、同じようなカーブを描いていました。

この工場内の道路のほうが、競馬場のコースだった部分と一致しているのかもしれません。

 

今や、上山競馬場の痕跡をとどめているものは、このような道路の形状と、馬頭塔と慰霊碑だけのようでした。

しかし、何もなくなってしまうよりは、これだけ残っているだけでもうれしい気がします。

 

ちなみに、2009年に刊行された『地方競馬の黄金時代』という本には、場外として利用されていた頃の旧スタンドと、工場が建てられる前の、放置されてなかば荒れ地になっていた本馬場の跡の写真が掲載されています。

興味がある方は、現在のようすと見くらべていただきますと、競馬場跡地の再開発がどのように行われたのか、よりわかりやすくなると思います。

 

 ◆    ◆    ◆

 

競馬場の痕跡を発見して満足した私は、ブドウ畑なんかがある道をテクテク歩きまして…、

次にたどりついたのはここ!

 

上山城です。

上山は温泉町だということは知っていたけど、城下町だったとは知らなんだ…。

27年前にきたときはバイクだったし、ちょっと先を急いでいたので、温泉場や城がある町の中心部は見ていなかったのでした。

 

この城は、1982年に再建され、最近改修されたばかりの新しい建物で、中は郷土資料館になっています。

そして、ここにやってきた目的は…、

 

この企画展を見るためです(ブロ友さんに教えていただきました)。

残念ながら、展示物の写真をお見せすることはできませんが、写真中心のこぢんまりした展示でしたが、なかなか面白かった。

 

上山競馬場は戦前からの歴史があり、もちろん中断した時期もありますが、約70年も同じ場所にあったそうです。

戦前の馬券売り場の写真も展示されてましたが、どう見ても、普通の農家の木造家屋のようでした。

 

昭和の喜劇俳優、バンジュンこと伴淳三郎さんが、この競馬場に深くかかわっていたことも初めて知りました。場内にバンジュンが経営する食堂があったとか。

バンジュンが書いた書も2点展示されていましたが、これがまた洒落ていてよかった。

馬を持って、オバンデアスと名前を付けて走らせたい、ゴシャガレでもいい、とか書いてありました。ゴシャガレとは、しかられるという意味のようです。

 

展示を見た後で、最上階の展望台に行ってみると…、

 

いつの間にやら空が晴れていて、蔵王の山並みがくっきりと見えた!

そうそう、上山競馬場のパドックからも、こんな山並みが見えてたんです。

夏のきれいな青空の下だったから、もっと気持ちよかったですねー。

こんなところで走るお馬さんも、お馬さんを走らせる騎手も、さぞかし気持ちよかったでしょう。

 

上山競馬が廃止になって船橋に移ってきた庄司騎手や、今年引退した江川騎手は、

船橋はなんて空気の悪い殺風景な競馬場なんだろうって、最初は思ったんじゃないかなー。

 

しかし、こんなところに41階建ての超高層マンションがあるとは驚いた…(失礼)

 

そして、上山探訪の最後をしめくくるのは…、

 

やっぱり温泉! 入浴料150円。安すぎ!

湯に入ったり出たりを繰り返して、150円で50分もすごしてしまいました。1分3円です。

 

 ◆    ◆    ◆

 

この後、私は上山を後にして仙台へ移動し、牛タンでも食って飲んで、カプセルホテルにでも泊ればいいや、と思っていたのですが…、

仙台までの列車の車中でいろいろ調べていたら、どうもその日は、仙台市内のカプセルホテルや安いビジネスホテルに泊まることは難しいかも…?ということが、だんだんわかってきました。

三連休の初日だから、観光客が多かったのか?

 

で、急遽一ノ関に宿を取り、仙台駅での約1時間の猶予の間に牛タンを食おうと思ったのですが、牛タン屋がどこも長蛇の列で…食い損ねた!

三連休の初日だからか? 全国の観光客が、牛タンを食いに仙台を訪れていたのでしょうか?

おそるべし杜の都…。

 

思えば、この日はいろいろと楽しみも多かったものの、いろいろやらかしたり、食い損ねたりも多い日でした…。

しかし、まだ本番はこれからなのです。

翌日、私は一ノ関からさらにもう少し足を延ばして、水沢競馬場に行くわけですが、

その話はまた数日のうちに、次の記事で書いてみたいと思います。