【マイレージ マイライフ】
「Help yourself」★★★☆(22/MAR/2010@日比谷シャンテ)
予告編がiTunesMovieTrailersに載ってから、ずっと見たかった映画。
とにかくステキな映画であることは間違いないし、終始ドキドキしながら魅入った。
これでフツーに終わればフツーに満点あげてもよかったんだけど……。
主演のジョージ・クルーニーの役どころは「リストラ宣告人」。
なんてタイムリーなんだ。
アメリカ中のヤバイ会社に赴いては、経営者に代わってリストラを宣告する。
常に国内を飛び回っているお陰で彼は1000万マイルという、想像もつかないようなマイレージを貯めるに至る。
小さなスタジオに住み、所持品はほとんど持たず、いつでも小型キャリーバッグ一つで出張に出かける。
結婚など考えたこともなく、妻や子供が出来ればそれはイコール所持品を増やすことになるからそんなことに興味もない。
原題の「UP in the Air」には、単純に機上生活という意味合いと、深い人間関係を拒否し社会的に”宙ぶらりん”な彼の現状、そして、彼によってリストラに遭い”宙ぶらりんにさせられた”人々とをかけたもの。
このところずっと邦題の文句ばかり書いてきたが、今回だけはちょっと褒めよう。
トリプルミーニングまではいかないが、まあ悪くない邦題だ。
演出は小気味よく、音楽もいい。俳優たちのお芝居も素晴らしいしプロットも面白い。
でも高得点をあげられないのは、テーマの凡庸さと、数カ所あまりに安易にドラマを進行させすぎたことによるストーリーのキメの粗さ。
惜しい……。
すんごく気持ちよくなれそうだったのに、惜しいぜ……。
ジョージ・クルーニーはいつもながら素晴らしい。
「ディパーテッド」のヴェラ・ファミーガはボクのセクシー番付のメンバー。「2度目の恋」という米韓合作映画では「チェイサー」のハ・ジョンウとも競演している。その映画見てないけど。
もうちょっと引っかき回して欲しかった、と感じるのはアナ・ケンドリックという、とても24歳には見えない”子役みたいな”顔をしている子役出身の女優さん。彼女にもうちょっとパワーがあれば、人間模様は絶妙のバランスになった気がする。惜しい。
ちょうど仕事の人間関係に疲れていたときに見たので、主人公のような身軽な生き方もいいな、と思った。
けどやっぱね……寂しいよなぁ。
予告編でも印象的だった「Help yourself」が切ない。
【噂のモーガン夫妻】
「ラブコメを舐めてもらっちゃ困るんです」★☆(19/MAR/2010@お台場シネマメディアージュ)
打ち合わせまでの暇つぶしで、ちょうど時間が合ったから見た。
サラ・ジェシカ・パーカーとヒュー・グラント主演のコメディ。
しかし……なんともお粗末な映画。
シナリオの酷さは特筆もの。
監督も俳優もライターも「やっつけオーラ」が爆発していて、鑑賞後の仕事までやっつけで済ませてしまいそうだったぜ。
真顔でこの映画の酷さを語っても全く無意味。
「ラブコメ=なんでもあり」じゃない。
本当なら★一個だけど、一国の中でここまで「異世界との出会い」を描ける国・アメリカの面白さに☆を追加。それ以外は、見るべきものは皆無。
殺人事件に巻き込まれたニューヨーカーが、警察の保護下に置かれ、中西部のワイオミング州に匿われる。
「嫌煙」「ベジタリアン」「動物愛護主義」と超わかりやすい「進歩的」女性である主人公が、スーパーで普通にライフルを売っている超コンサバなカウボーイの街での生活を余儀なくされるのだ。
この設定をとてもわかりやすく表しているシーンがある。
買ったばかりのライフルを両肩に背負って現れる保護者の女性を見て、主人公は一言「サラ・ペイリンよ!」
一見、アメリカ政治の本質が見え隠れするようなシチュエーションだが、このシュチュエーションがその後のストーリーに全く生かされないというダメダメぶり(涙)
しかも字幕では「サラ・ペイリンよ」が「銃マニアよ」になっていた。
それじゃあ面白くも何ともないだろうに。
まあとにかく、いい加減に作られた映画であることは間違いない。
SATCではダントツに顔がでかく(長く)見えたサラだけど、ヒュー・グラントと並ぶと超小顔!
スタイルは抜群。目の保養にはなった。
ヒュー・グラントはおなか出過ぎ。
【イタリア映画祭2010 ラインナップ決定!】
今年のラインナップが発表された。
去年は12本中8本鑑賞。ちょうど暇だったしなぁ。
今年は何本見れるんだろうか。
去年は「Gomorrah」や「Il Divo」など、話題作があったけど、今年は正直知らない映画ばかり(;^_^A
でも、去年は上記2作以外にもレベルの高い作品が多かった。今年も期待大。
何気に関係者に探りを入れると、去年よりも相対的にレベルが高いらしい……。
とにかく、暇であることを祈るしかない。……それしかない。
ちなみに去年のお気に入り
「私を撮って(Riprendimi)」
「見わたすかぎり人生(Tutta la vita davanti)」
「やればできるさ(Si può fare)」
んでやっぱ「ゴモラ(Gomorra)」
【木と市長と文化会館 または七つの偶然】
「愛すべきインテリたち:ローメル的弁証法」★★★★☆(10/MAR/2010@ユーロスペース)
そういえばこの映画を見ていたことを忘れていた。
大急ぎで書こ。
ユーロスペースのエリック・ロメール追悼特集上映。
今週で終わっちゃうんだよなぁ。しかも今日大好きな「緑の光線」やるんだよなぁ。
見に行けないけど。
二度目の鑑賞。前回はいつ見たのか思い出せない。
1992年の映画だけど、もっと古い映画に見える。
農家しかないような田舎町の若き市長が、町の美しい景観の一部である大きな木を切り倒してそこに文化会館を作り、町おこしをしようとする。
それを巡って、インテリたちが集まってカンカンガクガクの環境論を闘わせる。
それぞれのキャラが、ただただ自分の環境論をベラ喋り(笑)。
しかしその結末は、至ってロメール的なウィットに溢れたもの。
議論の内容は、まるで、いま現在日本で行われている環境談義をみているよう。
20年近く前の映画とは思えない。日本ってこんなに遅れてたのか(笑)。
幾らインテリたちが理屈をこねくり回して理論を積み上げても、それだけでは何も解決しないのが世の常。
理屈の上に様々な「もしも」と「偶然」が折り重なり、ようやくぼんやりとした未来像が見えてくる。
この映画はロメールの「環境論」などではない。
弁証法を通して見せる、人類の営みへの愛。
【パレード】
「香里奈リベンジ」★★★(16/MAR/2010@池袋シネリーブル)
原作は2002年に出た吉田修一の最初の長編。
吉田修一の初期の短編はどれも傑作揃いだったから、この「パレード」も出てすぐに読んだ。
読んだ当時は、「この作家はやっぱ短編の方がいいな」と思った。
それがいまや芥川賞も取り、「悪人」も今年公開されるし、なんか凄いな。
原作が出てから8年も経ってルームシェアリングが流行り始めるとは、やっぱ売れてる作家ってツイてるな。
「今度は愛妻家」を見て心底呆れ返ったばかりだから、見るかどうか迷ったんだけど……レビューも高評価だったし、しかもちょうど池袋にいたときに時計を見たら奇跡的に上映5分前だったこともあり、見ることに。
ルームシェアがあまり現実的ではなかった時代に原作は書かれた。
当時はその設定がまるで「仮想空間」のように感じられた。原作「パレード」は「もし東京のど真ん中にそんなマンションの一室があったとしたら……」という、現代日本に対する謎かけだった。
ちょうどチャットや掲示板が流行始めていた頃だったから、そのネット上での仮想空間をルームシェアという形で上手に表現したと思った。
しかし、いまじゃあルームシェアしている若者は沢山いる。チャットや掲示板もあの当時とは違い「悪意の吹き溜まり」と化している。
「ここはチャットや掲示板のようなもの。嫌なら出て行けばいいし、いたければ笑っていればいい」という原作通りの台詞に説得力がない。掲示板で愛想笑いしてるヤツなんかいない。
原作から8年も経ってから映像化するのなら、それなりの現実に即したアダプテーションをすべき。
ネタバレするわけにはいかない内容なので詳しく書けないのは残念だが、
行定監督は登場人物たちの「心の闇」が少しずつ明かされていく様を描くことに終始してしまった感があり、ボクはこの作品の持つ世界観を小さくまとめ過ぎてしまった気がする。
もう少し大局的に、必死こいて空気を読み合い、上辺だけの付き合いだけで人間関係を成立させてしまっている我ら「日本人」の脆さや切なさを主眼に描くべきだったのでは。
俳優陣は「若手実力派が結集」したらしいが……
藤原竜也は舞台と劇画以外は通用しないんじゃないか? 存在自体が不自然だった。
小出恵介は思った通り。そんなに上手い役者じゃない。「さり気ない芝居してます」って芝居。
ただ香里奈、林遣都、貫地谷しほりは良かった。
特に香里奈は「しゃべれどもしゃべれども」の破壊王ぶりからは想像もつかないほど。
ま、色々書きましたが、「今度は愛妻家」に比べたら500倍は面白い。















