夫は、この村の高校を卒業した日
号泣したそうです。
周りは夫の涙の理由を
誤解していたようですが
夫は、この村から離れられることが
義母から逃げられることが
嬉しくて嬉しくて、泣いていたのです。
何が何でもここから出て、
絶対に戻ってこない。
そう誓ったからこそ、
今の人生があります。
夫の育った家の前にある【砦】です。
夫は小さい頃からここに逃げていました。
義母のボーイフレンドの暴力から。
義母の心理的な脅しから。
溺愛される弟の代わりに
全てやらされた掃除や家事から。
【砦】を抜けると、
大好きなお婆ちゃんの家があります。
グラニーは今年、
86歳で亡くなりましたが大卒です。
その大学では初めての黒人だったそうです。
そしてリタイアするまで
州政府で働いていました。
昨日も載せたこの家で、
5人の子供を育てました。
この家には5年前から
住んでいませんでした。
何故、放置してあるのか分かりますか?
ローンも払い終わっていますし、
貧しいながらも真面目だった祖母は、
借金なども一切ないまま
亡くなったのです。
普通だったら、相続して、
家族が住むなり売るなりしますよね?
生前、売ろうとした時に、
初めてこの家が売れない事が分かりました。
黒人は、普通の銀行では
ローンを組ませてもらえなかったので
黒人専用のローンを政府から出してもらって
買った家なのだそうですが、
このローンで買った家を売るのは
難しいそうで、深い事情は分かりませんが
売りに出すことはできませんでした。
亡くなる2年半前に
老人ホームに移ったのですが
その時に、普通の健康保険から低所得者用の
メディケイドに移ったのだそうです。
死後、叔母が祖母の家の名義を
変更しようとしたところ
最後の2年半にメディケイドに
加入していたがために
その分の莫大な医療費が叔母に
請求されることが分かったのです。
莫大っていうのは、
日本円でいう○千万円レベルだそうです。
生前にも売れなくて
亡くなったあとにこんなボロい家の名義を
変えようとしたら政府から莫大な請求をされる。
弱いものいじめみたいだと思いました。
叔母は弁護士を雇って、名義変更はしないまま
この家の税金を支払い続けています。
そうしている限り、
政府はこの家を取り上げることができません。
叔母は、この家の名義変更ができれば
夫にくれると言います。
この家を直せば、
義母を住ますことが出来るからです。
障心者だった義妹が亡くなった今
そのソーシャルセキュリティのチェックに
頼って生きていた義母は、今までの場所には
住めなくなりました。
貧困から逃れることは難しいです。
【ここから逃げる】と誓ったあの日から
何十年たっても
義母の尻拭いをさせられる夫。
祖母がこの世を去っても
政府からのシステマティック差別に愕然とする
残された家族。
【仰げば尊し】と貧困から簡単に卒業することは
できないのです。

