夏が終わる頃、だんだん彼女の日々の行動がおかしくなっていきました。
もともとお酒が好きで高校の友人、居住地域の知人、元同僚、ネイルやバーの店員さん、飲み屋で知り合った仲間と、ちょくちょく飲みにいくことがあり、時には朝まで飲んで始発で帰ってくることもありました。
それが、今回は毎晩のように飲みに行き、しばしば朝帰りするようになってきました。ただし、最低限の礼儀なのか、誰と会い、遅くなるかもしれないことは伝えてきました。
それとなく様子を聞くと、本人は「病気のストレス解消、飲んで人と話していると楽」と言います。
また、朝もいないことが増えました。朝早く、友人の手伝い(お子さんの世話など)といって出かけていきます。朝カフェしたいからという理由のときもありました。
つまり、おれが家に居る時間、外に出ているのです。
ある日、「ちょっとさすがにダメだろ、ありえない」「おれは心配で待ってんだよ」と話しました。
答えは「家に居るのがつらい」「家事をちゃんとやろうとしても身体の調子が悪くてやり切れない、それがストレスに感じる」「むしろ外に出てると、気が楽」「自分でもよくないと思って、いろいろ考えているからもう少し我慢して待ってほしい」と。
今考えるとおかしな話なんですが、圧倒的に相手を信用しお互いの関係に安心しきっていた自分は、そのままにしてしまったのです。
病気のことはいろいろな治療法を試し、結果よくなったと思えるタイミングはあるのですが、しばらくするとまた辛い症状がぶり返すようでした。
秋に入り、肌寒くなり始めた頃、彼女の考えはまとまったようでした。
「近所に住む高校時代の友達がしばらく仕事で家を空ける」「その間、わたしが行って家のメンテナンスをしようと思う、友達は快諾してくれている」「身体を治すのに専念したいから」「遅くまで飲んでて心配かけてるし、お金も使うし、友達の家なら解消されるでしょ?飲みの代わり」「友達の家を別荘にして、ひとりでのんびりしたいときに行く感じ」とまくし立てました。
自分でもなんて言って了承したのか、よく覚えていません。よくわからない言い草に腹が立って、捨て鉢になっていたのかもしれません。おれはおれで今のままで暮らすことに限界を感じていたのです。
結局、家に戻ってきたのは最初の一週間のみ。その後はずっと友達の家で生活するようになりました。別居が現実となりました。
念のため書いておくと、別居に至る直前まで、多少は揉めたり口喧嘩したりはあったものの、毎週末土日はふたりで出かけ、なかよく手を繋いで歩いていました。映画を観たり美術館に行ったり買物したり外食したり、家で録画した番組を見たり、寝食を共にしたり、結婚した頃と変わらない夫婦生活を送っていました。
