「あのぅ、たまご料理とかで、ニヌキって知ってますか?」
「えーっと、あんまり聞かないけど。ゆでたまごのことじゃなかったかな」

「へー、ゆでたまご!ありがとうございます。珍しい言い方ですね、勉強になりました」
「よくわかんないけど、なんか聞いたことがあって」

お玉さん煮抜くから、煮抜き言うんやで。せやから、ゆでたまご言うても、固ゆでたまごなんちゃうか。と、よそさんの会話に内心つっこんだ。


プレミアムなスペシャルな食材を取り扱っているお店の方たちの会話を盗み聞きながら、煮抜きのこと知らないなんて、と衝撃を受けた。フェイク入れてるから、実際にはたまごじゃなくて、別の食材。

さて、今の仕事についてまる6年が経った。

わたしがここに居ても良いのだろうか?との思いが、強弱の差こそあれ、常にある。
ブービー賞がわたしの定位置。ここに居るにはふさわしくないのに、お情けで居させてもらっている。へりくだっているわけでも自虐でもなくて、これは事実。

と、思っていたけれど。
あー、なに言ってんだろ、そんなんどーもこーもないわ。とふいに思ったのが、今月に入ってからのこと。 
ずっと感じていた感覚が、スーッとひいていった。いままでのは、なんだったのだろう。 

出ていけと言われることもなく、居る場所があるんだもん。居てもいいじゃん、不法滞在じゃないしね。良い・悪いのジャッジは、この際おいておいて。 

そのとたん、じわじわとしあわせな気持ちに包まれた。状況はなんにも変わっていないのに、自分の受け取り方ひとつでひっくり返った。

「しあわせは、いつもじぶんの、こころがきめる」って、こーゆーことか。ハッピーハッピー。なぜか時間が経つのも早く感じる、それもハッピー、と思いながらのほほんと過ごしていた。 

それが、桜の開花予想日が近づくとともに、雲行きが怪しくなってきた。 
 「え、わたし、ほんとにここにいたいの?惰性とかしがらみとか、一切なしに?」とぐわっと問いが来た。 

その思いがマックスになり、なぜか筋肉痛もあり、疲れ果てて早々に就寝したのがゆうべのこと。一晩中、たくさんの夢を見たような気がする。

なんとも妙な感覚で目覚めた本日。問いを含めたぐるぐるのカオスは、とりあえず収まっている。

きっかけは、表題の件が発端だった。
トリガーってどこにあるのか、分からない。些細なことでも、影響が深部まで及ぼされることがある、ってことなのかも。