放浪生活のはじまり
いい加減出て行け的なことである。まあこれは俺の普段の生活態度を顧みるに当然と思える。俺だって立場が逆だったら追い出してるね。
ともかく、突如として俺は家というものを失った。
このまま次の部屋を決めて新しい生活を始めようと思う。
そして安物のキャリーケースに数日分の着替えと機材、あとガムと妖怪ウォッチバスターズとあと夢とかを詰め込んで俺は旅に出たのだ!
こうして俺の放浪生活ははじまった。
■1週目。1月9日くらいまで
正月早々なのでまず街にあんまり人がいない。
とりあえず俺がやったことは仮の宿を探すこと。
ここ数ヶ月は終電を逃して都内に泊まる事も多かったので、幸いにも行く宛てはいくつかあった。
とりあえず秋葉原のカプセルホテルみたいな所に拠点を決めて、荷物を入れる。
なんとなく自由になったような気持ちになる。ここ温泉あってサイコー。
そして俺は意気揚々と電気屋に向かった。
せっかくの機会なので環境を一新したい気分になったのでPCをMAC環境に移行する事にした。
中国人旅行者で店はまあまあ盛況。いわゆる爆買い。
アップルストアに行くが俺の欲しいのは売り切れていた。
代わりに若いイケメン店員のオススメの機種を勧められる。
これ僕も使ってるやつなんですよ、と言われる。俺はそうですかと答えた。
ありがとうイケメン。
ここから数日は年始でやる事もないのでPCの設定とかで夢中。
四谷、上野、両国あたりのホテルを泊まり歩いた。
毎日自分の寝場所を探して歩くというのはなかなか新鮮な経験だったな。
当然だが街ごとにそれぞれ人が住んでる。
街ごとのファミレスに街ごとのクソババアがいてすべての街がうるさいという事もわかった。
あと、最近はアプリなどで宿泊予約が簡単なんだな。
けっこう良いホテルでも日によってけっこう安く泊まれる。
とりあえずこの週はあっという間に過ぎた。
二週目につづく。
おもしろかったこと
今日はちょっと用事があって渋谷のライブハウスに行った。
ライブ後のライブハウスというのはなんとなく殺伐として慌しいものである。
濡れたモップが交差するホール。用事が片付いていつものわたくし仏頂面で立ち尽くしていると、メガネの真面目そうな男性が話しかけてきた。
男性「あの…もしかしてザ・ハンズインポケッ…」
俺「キサマーッ!何をしている!」
昔なじみにあった時に一瞬で記憶が甦る感じわかるよね。ポケッツのツがでる前に俺は思い出した。
そのメガネの男は小唄(こうた)といって10年近く前に神戸のとあるライブハウスで働いていたモヒカン男であり、居酒屋で消火器を噴射して身柄を確保された神戸若手打ち上げパンク勢の急先鋒である。
当時我々ハンズインは年間100回以上のライブが常態化しており、当然の様に神戸にも立ち寄った。
震災後の神戸のライブハウスは無軌道なエネルギーに満ち溢れており、俺達も地元の人間に混じって脚立や飛び降りなどあの手この手で無茶を競い合った。
ここ来てもなんのメリットもないでー!とブッカー自らが豪語するだけあってイベントの内容も滅茶苦茶な物が多かった。鍵をかけてストリッパーが踊った後に出たこともあったし、店員しか見ていない朝方の出番もあった。弾き語り二曲の為だけに新幹線で来る様に言われた事もあった(これは無視した)。そもそも俺弾き語りはやらない。
確かに滅茶苦茶な店で、人間的にもギリギリの奴が多かった。
商業的な意味でのプラスは完全にゼロだったが俺達はそこが好きだった。メリットは確かにあったのだ。
それは、ズバリ「熱い気持ちになれる」ということだ。
バカバカしい事だがこれは意外と核心を突いていると思う。
結局のところ、男にとっては「熱い気持ちになれる」こと以上に大事なことなんてほとんどないからだ。
飛び交うナベやコップや自転車を避けて天井裏に登り、火のついた紙を掻い潜って歌った事を俺は絶対に忘れない。
その時確かに彼らと俺達の中で何かが通じあっていた様に思う。
何年か後、俺は大暴れする事とは別の意味での挑戦に気持ちが向いていた。(それがZeppワンマンなどにつながっていく)
並行して神戸の店にもあまり行かなくなり、風の噂で小唄が消火器を噴射して捕まったと聞いた。
で、それから物凄い時が流れて今日に至ったのだ!
そういう長くてややこしい記憶や感情が小唄の顔を見て一気に甦ってきた。当時も実際会った回数は10回かそこらだと思うけど、そんな関係だからまるで昨日の続きみたいに話をする事ができた。
ここの所つまらない用事に忙殺されて心が冬場のババアのお肌の様に荒んでいたが、久しぶりに嬉しい出来事だったね。
彼は東京に出てきて仕事をしているそうだ。自分はラッキーな方だと彼は言ったけど、それは正にその通りで俺達みたいな種類の人間にとってはなんとか生きてることそのものがラッキーに近い。何事もなく笑顔で幸せに生きてる人間なんてほとんどキチガイしかいない。(これは僻みかもしれない)
そんで俺は、俺はまた違う意味での挑戦に向かっている。
どんな無茶だって終わってみればただの一日だけど、でもそれはやってみた人間だけが言っていいことだ。
バンドと違うのは、今度はカッコつける相手も見てくれる人もいないという事だ。
一人で、淡々と目標に向かっていかなければならない。
どうしようもない自分をカッコいい言葉で誤魔化す事もできない。
自分の逃げ癖やサボり癖や力の無さにうんざりするが、だが変わってくれる人間は誰もいない。
でもそれでいいし、それしかない。でもって、俺はダメな自分と向き合って挑戦していきたいんだよね。
結局人間はすべて自分の生きたい生き方で生きてると思う。
近い内に飲みに行く約束をして店を出た。
俺は思い出話というものがあまり好きではないので、お互いにこれからどんな事を企んでいるかを話せたら嬉しいと思う。
俺達は当時も今もバンドで、ザ・ハンズインポケッツで、
そんでその実態は、何の意味があるのかわからない人生になんとか自分だけの輝きを見つけ出そうとしている、ただの男達だ。
異常事態。
異常事態。異常事態だ。
自分のブログを確認したら俺去年の10月からブログ書いてねえじゃん!
これはもう本当に異常事態。死亡説が流れたとしてもおかしくない異常事態である。
ケンだけが毎日ブログを更新し続けているという異常事態。
これでは久々に会った友達に熱い眼差しで
「フジタ…お前やっぱりもう一度バンドやれよ!」
って説得されても不思議はないというものだ。
やめてない。そもそも辞めたことねえよバカヤロウ!
とはいえこんだけブログ放置して画面の上の方に
「この広告は半年以上更新のないブログに表示されます」
のコーナーが勝手に増設されてしまっている現状ではそれも致し方ないというものだ。
だがちょっと待てよ…?
ここで冷静になってちょっと考えてみてほしい。
いい年した大人の男性(わたしです)が毎日必死になってネットに自分の生活の様子を書き込んでいることの方が異常じゃないか?
毎日顔真っ赤にして携帯ポチポチして自分のかっこいい生活スタイルをみなさんにご報告している事の方が異常じゃないか?
そうなんだよそうなんだよ!これでいいんだ!
黙ってたっていいんだよそれが普通なんだよ!
箸を転がして笑いまくってる女子高生じゃないんだから毎日毎日みんなと共有したい感情なんかねえよ。
そう、この21世紀のIT社会日本ではなんだかみんなおかしくなっちまってるが、標準的な30代の紳士(わたしです)としては渋く黙って暮らしてるのが当たり前なんだよ!俺こそ常識人!俺こそスタンダード!我こそ正義なんだよ!わかったか!
そうやって一旦ブログだのSNSだのから離れてみると、色んな異常なことが明らかになっちゃうねホント。
自分も含めてだけど、もう必死。どうにかして自分のかっこよさ伝えようとして必死。
顔真っ赤にして自作のポエムや自撮り写メを投稿しまくってる人は後日黒歴史化必須だからなるべく早く消して逃げる準備を整えておいた方がいいぞほんとに。
これから仕事なのに朝まで飲んでた自慢とか、バイト先で店長に逆らった等のアウトロー系だらしない自慢もなしね。金も地位もないけど音楽と仲間だけが俺の救いだよ的なこといってるバンドマンも同罪だからな。ツイッターいじるヒマがあったら黙って練習しろバカヤロウ!
もういっそ「俺が見つけた寒いやつ」を報告するブログにしてやろうか!(バケツで氷水被るやつのことじゃないぞ)
こうなってくるともう俺なんか完全に世の中にハマれない人間なんだってことに気付いちゃうね!
でもって俺の周りに集まってくる奴世の中にハマれない奴ばっかりだね!
でもまーいいんだよ。俺もそういう奴が好きだしな。
みんながみんな人気者って訳じゃねーの!みんながみんな仲良くなれなくたっていいの!
どっちにしたって自分の物差しで計るしかないんだから気にせず自分のやりたい事をやってく事だよな。
いくら望んだって人気者になれないけどな。文句ばっか言って自滅してくか、それはそれで楽しんで前に進んでくかは自分で選べると思うよ俺は。
いや、自分の人生を精一杯ナルシスティックに楽しんでるという意味ではブログにポエム書き込んだ方がいいのか?その方が前向きなのか?
まあそれはいい。なんの話だかわかんなくなったけど、俺様はブログ更新してねえけど自分の感じでアドリブでやってるからOKってこと!わかったかコノヤロウ!