“一円参り”、
御存じの方いらっしゃいますか?
私が幼稚園~小学生の頃の思い出なのですが、
子どもたちが近所のおうちにお邪魔して、家々の仏壇にお参りして回るのです
仏壇の前にちょこんと正座して、二回 お輪 を鳴らしてお参りします
( おりん の音、好きで、何回も叩いて鳴らして怒られてたっけ )
仏壇には小さな器があって、そこへ一円を置いていきます
日が暮れるまで何十軒も回ります
片手には一円玉だけが入ったお財布、
もう片手には大きな手提げ袋を持って
というのも、
その一円でおうちのおじちゃんおばちゃんたちがたくさんのお菓子をくれるのです
子どもたちはその日のために一円を集めて準備しました
その日は子どもにとって「お参りする日」というより、
「お菓子をもらえる日」でした
仏壇の前で手を合わせてお参りしているときも、
頭の中は故人のことではなく「どんなお菓子もらえるかな♫」と考えていたものです
みんな毎年その日が来るのが楽しみでしょうがありませんでした
帰る頃には手さげ袋はぱんぱんになって、
そのずっしりとした重みを喜びに感じて家路に着きました
駄菓子を数個くれるのが習わしですが、
家によっては高級な、見たこともないようなお菓子をくれたり、
缶ジュースもくれたり
私は三丁目の住まいでしたが、
妹の手を引いて、二丁目も一丁目も回りました
家々のおじちゃんたちは誰でも、嬉しそうに家に入れてくれました
そのときのあたたかい笑顔や、家々の畳の感じ、線香の匂い、
今もぼんやりと記憶しています
みんな顔なじみのおじちゃんおばちゃんでしたから
その“一円参り”がたしか、昨日の日付け 4月8日 だったと思います
お釈迦様の誕生日です
( 旧暦の4/8なので実際には新暦での実施だったかもしれません )
私の出身地は長崎市の中心部でしたが、この一円参りは全国的なものなのでしょうか
私が高校生になる頃にはそのような子ども時代の思い出はすっかり忘れられ、
そういう光景は既に長崎にも無くなっていたような気がしています
遠い幼き日の、古き良き日本の田舎の風習だったのでしょうか
春休み最終日は息子ッチと二人、近所の公園へ
芝生にレジャーシートを広げて、
大の字に寝っ転がると気持ちいいーーー
あ、片手にはお菓子を持ってますが,,,
地震以降、空が重くて、
世界の天井の高さが半分になったような気分でした
重くて苦しくて
でも
こうして寝っ転がって空と並行に並んでみると、
やっぱり空は空のまま、
ちゃんと高くてきれいだった
なんか安心したーーー
桜も、陽当たりの良い木は満開
あ~、
春なんだな~
桜はなんでも知っている
ハンバーグも、太陽と一緒だとより美味しい
息子ッチはぽかぽか日なたでそのうちうとうとzzz
“桜だけじゃないよ”、と他の木が誘う
うんうん、
うんうん、
すべての花も木も、空も、
こうしてここに在るだけでパーフェクトだ
就寝前、布団にくるまって本を読むことが多い夫チャン
泊まりの出張帰りだった昨夜、
久しぶりに(一泊ぶりに)一緒に眠れることもあってうれしい私
本を読み始めた夫チャンに私は言った
ねぇ、その本、今読んでる本、音読して
読み聞かせして
急なリクエストに一瞬戸惑った様子の彼も、
次の瞬間にはどの話を読もうかと、本の目次を目で追い始めた
よし、
短いからこれにしよう
読むよ
「*** *** *** ***」
ねぇねぇ、誰の何ていう本なの?
まずタイトルを読んで
読まないよ、
話を聞きながら、誰の本か考えて
「*** *** *** ***」
・・・
・・
・
最初こそ話を聞いていたものの、
彼の声だけに気を取られる私
私が聞きたいのは物語ではなかったようだ
彼の声、
発声の仕方、
句読点の間の取り方、
微たる沈黙からこぼれる意志、
彼の声
音になる前後の空気の擦れ
私にはもう、彼の声帯のふるえが手に取るように想像できる
物語はすでに聞き手を失い、
彼が発する声の種類を、私は一心に分類していた
あ、
今のは私がとくに好きな声
あ、
今のは二人きりのときに聞かせてくれる声ね
あ、
そうだった、
作者当てクイズがあるんだった~、と、
あわてて私は途中参加で物語を聞いてみた
つまらない
つまらない話だ
誰?この書き手は
ねぇねぇ、この話つまらないから、
最後のページに飛んで!
わがままな私の二個目のリクエストにも、
確かに、と言わんばかりにすぐに対応してくれた彼
「*** *** ***」
あぁ、ラストまでつまらない、、、
自意識過剰な大人が自己顕示だけで吐露した文
他人と違う自分を主張したいだけのおはなし
誰が書いたの??
わからない? 君の好きな作家だよ
え!もしかしてこのナルシストぶりは三島由紀夫?
そのとおり
・・・、
あぁぁぁ、、
三島だったらしょうがない、、
とほほ、、
三島由紀夫からナルキッソス(美)少年を引き離すわけにはいかない
でもせっかくの彼の読み聞かせ、
もっと愉しいお話がよかったな
三島由紀夫 『 詩を書く少年 』







