就寝前、布団にくるまって本を読むことが多い夫チャン
泊まりの出張帰りだった昨夜、
久しぶりに(一泊ぶりに)一緒に眠れることもあってうれしい私
本を読み始めた夫チャンに私は言った
ねぇ、その本、今読んでる本、音読して
読み聞かせして
急なリクエストに一瞬戸惑った様子の彼も、
次の瞬間にはどの話を読もうかと、本の目次を目で追い始めた
よし、
短いからこれにしよう
読むよ
「*** *** *** ***」
ねぇねぇ、誰の何ていう本なの?
まずタイトルを読んで
読まないよ、
話を聞きながら、誰の本か考えて
「*** *** *** ***」
・・・
・・
・
最初こそ話を聞いていたものの、
彼の声だけに気を取られる私
私が聞きたいのは物語ではなかったようだ
彼の声、
発声の仕方、
句読点の間の取り方、
微たる沈黙からこぼれる意志、
彼の声
音になる前後の空気の擦れ
私にはもう、彼の声帯のふるえが手に取るように想像できる
物語はすでに聞き手を失い、
彼が発する声の種類を、私は一心に分類していた
あ、
今のは私がとくに好きな声
あ、
今のは二人きりのときに聞かせてくれる声ね
あ、
そうだった、
作者当てクイズがあるんだった~、と、
あわてて私は途中参加で物語を聞いてみた
つまらない
つまらない話だ
誰?この書き手は
ねぇねぇ、この話つまらないから、
最後のページに飛んで!
わがままな私の二個目のリクエストにも、
確かに、と言わんばかりにすぐに対応してくれた彼
「*** *** ***」
あぁ、ラストまでつまらない、、、
自意識過剰な大人が自己顕示だけで吐露した文
他人と違う自分を主張したいだけのおはなし
誰が書いたの??
わからない? 君の好きな作家だよ
え!もしかしてこのナルシストぶりは三島由紀夫?
そのとおり
・・・、
あぁぁぁ、、
三島だったらしょうがない、、
とほほ、、
三島由紀夫からナルキッソス(美)少年を引き離すわけにはいかない
でもせっかくの彼の読み聞かせ、
もっと愉しいお話がよかったな
三島由紀夫 『 詩を書く少年 』
