チケットを譲ろうと思った。
好きなはずの音楽をあまり聞けていなかった。
大好きな人達を失って、音楽を見に行く余裕もなかった。
譲り手がいなかった。
空席を作るのは申し訳ない。
外に出たら、暖かい気温。
桜並木が美しかった。
下を見て歩くなんて勿体無いほど。
tacicaの知ってる楽曲は数曲。
どれかだけで聞けたらいいなぁと思った。
でもこの場所にいる人は僕より長いこと好きで、僕よりも好きな曲が多くて、愛しているんだな、と。
『HERO』のイントロが鳴った瞬間、僕の全身にライトが集中した気分になった。
まばゆいバンドのサウンドが満ちていく。
僕の好きな音楽って、こういうのだ。
懐かしい気持ちを思い出させてくれた。
音楽が好きな僕を、音楽が導いてくれた。
猪狩くんが言ってた。
「ここに来てくれた人、来れなかった人、みんなを蔑ろにしたことはない」
音楽は、いつだって平等なんだ。
ありがとうね。
そして、おめでとう。
end