実に3年ぶりのTHE NOVEMBERSだそうで。
そうか、前作のアルバムリリースツアーも3年前ってことか。
THE SPELLBOUNDの結成と共に、やはり小林くんには多大なる影響を与えた。
今作は、その片鱗が見え隠れしつつもノベンバの新たなターニングポイントとして位置付けられていると感じた。
本編は『かたちあるもの、ぼくらをたばねて』から始まる。
高松との歌声が混ざり合って、純粋なものを降らせたような眩さに包まれる。
ステージの照明が逆光となって表情は見えない。
穏やかな空気で始まった時間は、待ち侘びたファンの拍手で幕を開ける。
その後『Hallelujah』の軽快なリフが鳴ると高揚した。
高らかな歌声が響き渡ると同時に、ステージに心酔する。
音の波に飲まれ込まれながら『Morning Sun』へと移動する。
打ち込みサウンド、小林くんの歌声の裏に散りばめられた星々が輝いている。
初めて聞いた時の光景がライブでそのまま表現されていた。
吉木のドラムが上がってくるたびに放たれるこの感覚。
そして緩急をつけるのがノベンバの真骨頂。
高まるのゴリゴリベースから『1000年』、ケンゴと小林くんのギターが炸裂するアグレッシブな『Ghost Rider』。
これまでの作品を違和感なく取り込んで新鮮さを生み出すのはさすが。
ハンドマイクを持った小林くんが両手を広げて後ろを向く。
『Everything』の柔和な音が鳴り響くと同時にカラフルな照明がステージから放たれる。
ハンドマイクで魅せる楽曲は『GAME』や『楽園』、『New York』あたりだっただろうか。
シャウトしながらオーディエンスを煽り、楽曲に合わせて自由に踊り狂う様は儀式のように思える。
特に『NEO TOKYO』の異様な雰囲気は、凝視する他ない。
目を瞑っていてもその音に容易に酔うことができる。
ダンサンブルを手に入れたノベンバは耳も体も染め上げてくるのだ。
そうしてアルバムの1曲目『BOY』で駆け抜け、ラストは『Xeno』で脳を震わせていった。
アンコールで話したのは各地のファンへの感謝。
そして来年で結成20周年ということ。
「栃木のコンビニの前で、高松と「ART-SCHOOLと対バンすっぺ」なんて会話してた」
そう振り返る小林くんは何の後悔も不安すらもないような笑顔だった。
その表情を見て、自分の中のタガが外れた。
涙が止まらなくなってしまったのだ。
安心?喜び?終わることの寂しさ?
わからない感情と共に『抱き合うように』を見つめた。
そして『いこうよ』で誇らしい4人の姿を目に焼き付けた時には、僕は笑っていた。
ぼやけた視界に映る映像を、永遠に残したくなった。
理性の淵をなぞり、感情を自由にしてくれるバンド。
素直になれる場所がここにありました。
お疲れ様、またいい未来で。
end