部屋が乾燥していて、鼻の奥の痛みで起きた。
何もする気がなかった。
でも、母の日くらいは祝いたいと思った。

花を買った。
母は柔らかな声で喜んでくれた。

それだけで、動いて良かったと思った。
帰宅して絶賛ぶっ倒れてます。
後悔はないのだ。


end



微熱が出た。
でも次測ったら平熱。
微熱、平熱の繰り返し。

後輩の言葉にハッとする。
佐々木亮介の歌詞にハッとする。

僕、いま生きてるんだよな。


end



悲しいニュースが飛び込んできた。
薄々そうなんじゃないかと思ってた。
でも帰ってくると思ってた。

悔しい、納得いかない。
怒りの方が強い。

なんでこんな、こんな。

大好きだから余計に。

辛い。
何度も夜中にスマホを見返した。
風邪もひいてしまった。
あんたのせいだ。


end



武道館に到着するといきなりベストアルバムとツアーの告知。

30箇所以上あるのでは?というくらいのスケジュール。

しかし、待望の武道館ライブは何もかもいつも通りだった。

10分前に佐々木が客席を通ってステージに立ち、リハをする。

『本気で生きているのなら』の2サビあたりから定刻になり、3人がステージに現れて合奏する。

客席の照明もつけたまま、特別な衣装も派手な演出もない。

佐々木は寝っ転がるし、下に降りようとするし、曲を入れ替える。

通常営業だったが、違うのは我々の高揚感くらい。

「よく来たね、来てくれてありがとう」

その一言だけでも会場内が沸く。

並べられたいくつものロックンロールを聴くたびに、僕らは勝手に勇気をもらっている。

こんなに大勢のファンと共にいることがこそばゆい。

どこにいたのさ、今まで。


アンコール、リュックの中から歌詞カードを並べる。

直近できたであろう新曲を披露。

何度も叫ばれる「ロックンロール」が頭に残る。

どん底に落ちた人間の光になるような輝きがあった。

あれ、フラッドって今までもそうだったな。

誰も見てないような努力、踏まれていた花、傷ついても言えずにいた気持ち。

それらを認めてくれていると思っている、僕の勝手で。

決して満たされることのない渇きにもがいているように見える。

そんな佐々木の姿を、声を、フラッドを味わいたいのだろう。

難しいことはわからないけれど、信頼は確かにある。

彼らの曲が好きなことはわかる。

「明日、下北沢シェルターでライブやります」と、これまた突然の告知にオーディエンスは困惑、もはや爆笑。

ステージ上でギターを片づけ、スタッフや客席に手を振って、当たり前のように去っていく佐々木亮介をみんなで見送った。

これがただのパフォーマンスに思われてしまうか心配だが、4人が1秒でも長く、楽しく演奏してくれることを祈る。

『プシケ』が武道館で鳴り響いた事実と、誇らしげな4人の姿。

ちゃんと刻んだよ、楽しかった。



end




泥臭く、無邪気に夢を追ってたのはいつだ?
とうとうこの日が!という気持ち。
何が起こっても、武道館というワードで高まる。
その光景を刻むことができる。

夢のような日を、夢にしないために。

おめでとう。
良い日にしよう。


end