約一年ぶりのストレイテナーを見た。

『The Ordinary Road』というアルバムは紐解くのに時間を費やした。

『Blank Map』のようなソフトに日常を映し出しつつ、彼らならではのアグレッシブなロック曲を含む。

このアルバムで言うところの"Ordinary"は何なのだろう。

 

 

沖縄公演が残っていますが、以下ネタバレあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1曲目『リヒトミューレ』の軽快なリフに揺られながら緩やかに始まりを告げた。

そこから『さよならだけがおしえてくれた』へ遷移した瞬間、珍しくアッパーに序盤から攻め入るセットリストではないことに驚く。

メロディ、歌詞を確かめながら放ち、祈るように『Silver Lining』へ。

フロアに数多くの手が上がる光景を何度も見てきたはずなのに、こんなに美しいのだと改めて実感する。

そして『Graffiti』を鳴らすことで多幸感に溢れる空間が生まれる。

笑顔、笑顔、笑顔。

おかしいな、始まったばかりなのに幕を閉じるように思ってしまう。

それくらいに愛おしい感情を生み出す。

 

徐々に温めた空気を跳ね上げさせる『FREEZING』のギターリフがOJから流れる。

『工場夜景』では目が覚めるような、全身全霊でドラムを叩いていくシンペイ。

その一打ごとに不要な思いが削ぎ落とされていく。

4人から目が離せない、どのメンバーを見ていても清々しい引き込まれ方は僕が初めて彼らと出会った14年前から変わらない。

何も特別なことはないのに、惹かれていく。

これらを起爆剤として芳醇なロックナンバーブロックが始まる。

『Zero Generation』は重厚なギターに絡み付くホリエの歌詞が心地よい。

ひなっちによるイントロのベースがなった瞬間歓声が上がった『KINGMAKER』。

そして『Super Magical Illusion』では音に導かれるがまま踊り狂うオーディエンス。

そんなブロックに終止符を打ったのは『SAD AND BEAUTIFUL WORLD』だ。

リアレンジを果たしてからのこの曲の化け方は異常だった。

より切なく、それでいて怒りのような強い決意のようなものを秘めている。

個人的にずっと音源化を待っていた曲でもあった。

 

「古の曲を」とホリエが言った。

その瞬間、何が鳴らされたのかが分からないくらい彼らの曲をたくさん脳内で掘り起こした。

『走る岩』だ。

目を細めるほどの照明に照らされ、重厚なギターやベースに彩られて、僕の当初のこの楽曲に対するイメージが変わった。

同時に歌詞を浮かべて気づいたのだ、”泳ぐ鳥”や"叫ぶ流れる星"というキーワードを。

ゾクっとした。

その直後『COME and GO』が鳴らされる。

この作品の繋がりを意図していないにしても、過去の楽曲と今の楽曲が一直線で繋がるだなんて。

あまりの美しさに少しの間は呆然としてしまった。

 

ブロック終盤。

『シーグラス』や『Toneless Twilight』の盛り上がり曲に新たに『Skeletonize!』が加えられた。

ダンサンブルに攻め入る中でレーザーや噴射する煙でさらに盛り上げを増す。

さらに上に行けるんだ、まだ先があるんだと嬉しくなった。

「毎回セットリストに入れているわけではない、3000人の声が聞きたい」

と会場に響き渡らせた『Melodic Storm』では、全力で歌い上げるオーディエンスと一つになった。

力を一滴残らず出し尽くさせるようにラストは『TRAIN』で本編を締めていった。

ステージから手を振る4人の満足そうな笑顔。

何度この光景を見たのか覚えていない。

その度に僕は惜しみない拍手を全力で送ってきたのだった。

 

 

このアルバムは、ストレイテナーとしての基本・軸・根底を表しているような気がしている。

ロックというジャンルに捉われず、オルタナティブという言葉で隠さず、これがストレイテナーの音楽だと位置付けている。

「僕らは進まなくちゃ、先を急がなくちゃ」と歌ってきた泥臭くも貪欲な彼らは特別な人間ではないから、僕らと同じ日常を送っている。

だからこそ僕らの胸に飛び込んでくる音楽がある。

歩んできた道を振り返ってみれば、きっと変わっているようで変わっていないなと笑ってしまうかもしれない。

この先にどんなことがあろうとも、4人の音楽は僕らの胸でいつでも再生できて、それが盟友となるのだ。

 

 

end