tacicaを初めて聞いたのは『LEO』だった。

某アニメのタイアップで聴き、そのマッチする世界観に惹かれた。

そこで僕が手に取った初めての彼らのアルバムが『Human Orchestra』だった。


だから、『parallel park』と『Human Orchestra』の再現ライブツアーをすると聞いてすぐさまチケットを申し込んだ。


東京キネマ倶楽部は、鶯谷駅から橋を渡りすぐの会場だ。

夏日の今日は日陰に避難せざるを得ないくらいの暑さ。

しかし会場に入ると元キャバレーの雰囲気に呑まれ、そんなことを忘れさせられた。

ステージを囲むフロア、180度どこから見ようかと悩む。


定刻通り始まった。

一曲目は『ヌーの休日』だ。

猪狩の第一声を聞いた瞬間、ずっと感じていたtacicaの人間味が耳に入り込んだ。

眩しい照明が目に飛び込み、まずは『parallel park』の音楽たちが再現されていく。

途中、猪狩のMCが入るのだが、想像していないくらいにはスローモーでゆるい雰囲気だった。

そのマイペースさがまた面白い。

ベースの小西グッズ紹介をこれまたゆるく話し終えると待ちに待った『Human Orchestra』の世界へ。

『HERO』のイントロが爆発した瞬間、やはり空気が変わった。

オーディエンスの表情が照明に照らされてよくわかる。

『クローバー』へ続くも、手の上がる数は変わらない。

このブロックは本当にあっという間だった。

血のたぎる、日々を駆け抜ける僕らの足元を彼らの炎が照らす。

安心という名のブランケットが包んでくれるような『熱帯夜』で本編を締め括った。

後のMCで猪狩自身も「昔はアップテンポの方がかっこいいと思ってたんだけど『熱帯夜』とか好きです。」と言っている。

朝から夜までを想像した。

その時間の流れは人間だからこそ感じられるもの。

喜びも憂いも抱いて、人は1日を過ごす。

そんな当たり前のことを僕はまた音楽で気づけた。


これからも手を繋いで入れたなら良いな。




end