とても褒め言葉に聞こえないかもしれないが。
僕は化け物を見てきたのだ。

ネタバレがあるのでご注意ください。














初めてのAdoのライブは友人が誘ってくれた。
たった1人の少女が国立競技場を埋め尽くした。
彼女の歌がどんな世界なのかはあまり知らない。

一曲目の『うっせぇわ』を聞いただけで、声帯が震えるほどの脅威を思い知る。
彼女の声域は果てしないのだろうか?
まるで曲を筆で描くように、軽やかかつ遊び心を含めた感覚で歌う。
悲しみから怒り、喜びまで。

この全力で描かれる歌声が20曲以上も続くのだから本当に恐ろしい。

逆光を利用してシルエット化された彼女の手が伸びる、寝転がったり、バレエダンサーのように飛んだり跳ねたり。
表現力が動作だけでなく歌声にも比例。

天井が開いてる国立競技場の特性を活かし『永遠のあくる日』ではさらにドローンと花火の演出。
星を見上げるように何ものオーディエンスが夜空へ視線を向ける。
ドローンが描く美しさに見惚れる。
そして歌われる『私は最強』の希望に満ち溢れた歌。
まるで舞台のように切り替わりにメリハリがあり、視覚的に惹かれてしまう。

彼女が救われたというボカロと歌い手の世界。
それらに心の底から何度も感謝し、恩返しをしたいと語る。
彼女の歌もまた誰かの胸を打ち、生かすのだろう。
そうして繰り返されて行くからこの世界は面白いのだ。
誰しもが持つ大切で美しいもの。
信じていれば光は見えるのではないだろうか。

苦しみを食い散らかし、
喜びを撒き散らしていき、
彼女は彼女の目標のために、今日という一歩を踏み出した。
どんな世界でも彼女の芯の強さは負けない。

まさに新時代を感じる日となりました。


end