何から書けばいいかな。
まずは不安のこと。
バンドとしてターニングポイントの日に名付けられる「バクチク現象」というタイトル。
悪いことばかり頭を駆け巡る。
解散、活休、新ボーカルを加入させる。
そんなことあるはずないと思っても、何が起こるかわからない。
続けてほしいと願ったところで、ボーカルはどうする?メンバーの気持ちは?と。
日々痛い胃の痛みの原因は、この先のBUCK-TICKの行末だった。
とても晴れた日だった。
西日が当たってコートもいらないくらいの暖かさ。
Ceremonyも晴れてたね、でも夜には寂しさと相まって寒かった。
グッズは事前購入していたから無事に受け取り。
ブランケットが大きくて笑ってしまった。
時間が近づくにつれて、緊張した。
数時間後の僕はどんな顔をしているんだろう。
ただただ、祈る他なかった。
ステージにはマイクスタンドだけ無かった。
仮面や拡声器、蝋燭があるのに。
開演してもまだ僕は櫻井敦司が生きている、生きていてほしいと願った。
4人が登場し、もう1人を待った。
スクリーンに「バクチク現象2023」の文字、そして彼のシルエットが挨拶した。
その瞬間、会場が湧いた。
そしてシルエットが光となって散った。
青い照明に照らされて『疾風のブレードランナー』が流れた。
「さあ、始めよう!BUCK-TICKだ!」
今井さんが叫んだ瞬間、センターにスポットライトが灯された。
流れてくるのはあっちゃんの歌声。
その光景を見て、僕らは現実を見せつけられた。
櫻井敦司は、もういない。
明るく、前向きな曲なのに僕は泣き崩れることしかできなかった。
あっちゃんよ、4人が鳴らしてるんだからそこにいなきゃいけないんだよ。
スクリーンに映し出された4人の表情がとても硬かった。
でも『独壇場Beauty』に移るとユータが笑顔を見せているのがわかった。
今井さんとヒデも前面に出てオーディエンスを盛り上げている。
彼らの精一杯がとても辛く、でもライブは楽しい。
複雑な気持ちで僕は声を出して泣いていた。
このままで進んでいくのか、いや、終わってしまうのだろうか。
気持ちがぐるぐるとしている時に流れたのが『FUTURE SONG』だった。
ヒデが、あっちゃんのパートを歌っていた。
その姿を見て僕は確信した。
BUCK-TICKを4人で守っていくんだな、と。
『愛しのロックスター』では、アニィの還暦バースデーライブの映像が流れた。
あっちゃんがISSAYさんと歌っていた。
その嬉しそうな表情に思わず僕も微笑んでしまった。
途中、黒子のようにフードを被った人物が現れて蝋燭に火を灯した。
心がざわついた。
まさか、、、お願いだ、捌けてくれと祈った。
その祈り通り黒子は捌け『ROMANCE』のラストには火を消してくれるサポートな役割だった。
とてもホッとした。
どんな未来でも受け入れると決意したものの、不安は体をこわばらせた。
あっという間にアンコールとなり、ユータに光が当たった。
「今日はありがとうございます。来れなかった全国の人たちもありがとうございます。
BUCK-TICKはライブバンドなので、ライブして成長してきたと思います。そして、作ってきたと思います。
あっちゃんは天国に行ってしまいましたが、BUCK-TICKはずっと5人です。
これからどんな未来になるのかわかりませんが、1つだけわかっているのは、これからも皆さんとBUCK-TICKを作っていくことだと思います。」
涙を流しながら話し、ヒデが心配で振り向いたのを「大丈夫」と返した。
その後にアニィ。
「前代未聞の状況になりまして、辞めるべきか、色々悩みました。こうしてファンの皆さんがいますので、継続させていただきます。
第2期のBUCK-TICKということでよろしくお願いします。」
アニィが泣くなんて、見たことあるわけないし、冒頭からの緊張の糸が緩んだようにも思えた。
次にヒデ。
「不安だったよね、みんな不安でした。でも、パレードは続くよ。もう一度言うよ、パレードは続くよ。」
シンプルの中に、ヒデらしいとても優しい気持ちが込められていて包まれる感覚。
最後は今井さん。
「人生は本当に容赦ねえな〜、笑えねえよ、何死んでんだよ。なあ?でも大丈夫、続けるから。
あっちゃんは死んだけど、それは悪いことではなく、当たり前のこと。
悲しんだり、泣いたり、号泣してもいいけど、苦しまないで。死んだことより、生きていたことを大事にしてください。」
あっちゃんと一番距離が近かった今井さんの言葉は、悔しさとポジティブさが含まれていた。
だからこそ、優しく諭してくれたのかな。
4人の言葉から出てきた、BUCK-TICK継続のワード。
これがどれほど未来を明るく照らしてくれたか。
ボーカル不在でどうするの?誰が歌うの?あっちゃんいないのなら意味がない。
そんな風に思う人は多くいるし、これからのスタイルを考えると離れる人も実際多いと思う。
これまでもBUCK-TICKは音楽性や方向性について作品ごとに変わっていて、受け入れられなくて離れた人もいるはず。
それでも自分達の音楽を鳴らし続けた。
誰に何を言われようとも、信じた音楽の道を走ってきた。
そのスタンスはこれからも変わらないのだろう。
冒頭で僕が綴った不安の答えが出た。
これからも僕はBUCK-TICKを見届ける。
5人でBUCK-TICKだと言い放ったその姿勢。
ゲストボーカルや新メンバーの加入など、外部を頼ることもできたはずなのに5人でやると決めたのだ。
こんなにもピンチなのに、35年前と変わらない真っ直ぐな気持ちが僕には届いた。
今はまだ、悲しい日々が続くけれども、メンバーの声が聞けて少し心が軽くなった。
僕の中の時計の針を動かしてくれるのは紛れもなくBUCK-TICKだ。
その日が来るまで僕は2023年に生き続け、これまでの思い出を愛でようと思う。
あっちゃん、これから面白いもの見れるみたいだよ。
end