彼らにとってはリベンジとなるアコースティックワンマンツアー、通称アコカルツアーにようやく行くことができた。
僕らも、mol-74にとっても長いことこの日を待ち侘びただろう。
品川キリスト教会は、ライブ会場としても利用できる教会のため、すごく憧れだった。
この場所で鳴らされるライブを聞くとしたら、僕はモルカル出会ってほしいと心のどこかで思っていた。
その日がついに来たのだ。
指定席ではなく、座席に置かれたポストカードサイズのウェルカムメッセージがある場所に自由に座る形式。
彼ら曰く「待ち時間も退屈しないよう、ベースのたかっちゃんアイデア」とのこと。
外の雨で冷え切った体は少しだけ落ち着きを取り戻す。
昼の部、14時を過ぎた頃に始まった。
今回の彼らのコンセプトは、Noon & Nightという夜から朝が明けて昼までの時間の流れを表したセットリストとしている。
早速、僕らの夜を照らす『Moonlight』でスタート。
音の響きがとても心地よく、ステージ向かって右側にはリズム隊、左はメロディ隊と分かれていた。
僕は右側にいたので、ベースの音とドラムのリズムを体全体で受け止めることができた。
重低音の包まれ具合も最高だ。
夜といえば、僕はアルバム『まるで幻の月をみていたような』によくお世話になった。
音楽がそこにあるのに、孤独による安心感を得たアルバムだ。
そのアルバムから『フローイング』、他アルバムから『夜行』、『アルカレミア』など、夜にふさわしい曲たちが連なる。
ただ単純にアコースティック演奏をしているだけではなく、アレンジがとても凝っていた。
要所的にある、抜け感というか、敢えて音源に強く備わっている音を抜くことでまた違う風景を見せられる。
ただただ驚きの連続だ。
そこに1つの更なるエッセンス、今回新しく発売された音源から『Each』が披露された。
「SNSで流れてくる情報が正しいと、マジョリティだと思ってしまうことに対して書いた曲」という内容もあって、歌詞の共感を感じた。
これを夜の曲の1つとして掲げられたことにより、また僕の中で新たな物語が作られるのだ。
『瞼』、『Morning Is Coming』を皮切りに朝が明けていく。
流れがまた現実味を帯びていて、思わず僕は目を閉じながら聞き入ってしまっていた。
「おはようございます、ここからはNoonに入っていきます」
『Replica』、『エイプリル』、『ノーベル』など盛り上がる明るい曲が続いていたが、特に後者2曲が個人的に胸を突かれた。
『ノーベル』、軽やかに走る姿を照らす太陽は明けて間もない光。
夜露に濡れた草木がキラキラと陽の光の反射で瞬いている。
その引き込み加減がもう圧倒的で、僕は涙が溢れてきたのだ。
そして『エイプリル』は裏拍子でドラムが始まったため、全く予想できない展開に。
このリズムでよくアレンジを思いついたなと笑いが止まらない、恐ろしくて。
見事に夜から朝を経て昼にたどり着いたセットリストだった。
本編のラストは『あくる』という新音源のもう一つの曲で締めた。
大切な思い出を翌日に振り返ることは必ずあり、その時に胸がほっとする感覚。
楽曲に情景を閉じ込めていたバンドが、匂い、感情までも詰めて真空パックのように新鮮な曲として作成するまでになった。
1つのバンドをインディーズからメジャーまで見続けることは初めてなのもあるが、本当に成長が面白いのだ。
同じ時間は2度とこないからこそ、この日、この場所で、この時間に得たものが動画のように再生できたらな、と新曲を見ながら感じた。
MCとなるといつまでだって変わらない4人の雰囲気に、また来年も呆れながら驚いてしまうのだろうな。
ツアーファイナルお疲れ様でした。
end