この曲が新しいラルクの始まりを告げるのだ。
撃ち放たれた矢が誇らしげに突き進み、虹がかかる。
そんな気持ちにさせられる強い衝動。
余韻を感じさせないまま2曲目『READY STEADY GO』へと駆け抜ける。
東京ドームの観客が一気に興奮していく。
メンバーも煽り、ボルテージが一気に上がる。
kenの軽やかなギターが広がって始まる『New World』は僕が聴きたかった曲の1つだ。
常にバンドの世界を先へ先へと切り開いていく彼らを象徴する曲。
この曲をきっかけに、僕の感情をピンポイントに突いてくる流れとなる。
hydeが「天国に行こう」と促し緑色の『SEVENTH HEAVEN』の目眩く世界へ誘い。
『Lies and Truth』ではtetsuyaのコーラスとベースが際立ち、再び鳴らされたkenのギターは切なさに溢れる音色に仕上がる『瞳の住人』。
僕はラルクを知ってから、ラルクの曲を聴き始めてから長い日なんて経っていない。
それなのに次々と繰り出される曲にさまざまな情景が浮かぶ。
そして、このドームで灯された一人一人のライトが曲ごとに一瞬で切り替わる美しい情景に記憶が塗り替えられていく。
真っ赤に染まった『XXX』ではダークな重低音かつ艶やかな雰囲気へ。
変わって『finale』では冷たく振り続ける雨に打ちひしがられる、悲しみを含んだ歌声で観客を魅了する。
その雨を上がらせるようにkenのギターが雲を払い、yukihiroのドラムが日差しを招き入れる。
『MY HEART DRAWS A DREAM』だ。
前回のツアー同様に、オーディエンスに鼻歌を要求。
この状況下の中で、少しでもファンとの一体感を味わえる良策とも言える。
MCもそこそこに『Driver's High』で再度エンジンをかけ直す。
何万もの人が一斉にジャンプする様は圧巻。
yukihiroによるドラムきっかけで披露された『Pretty girl』から、今回不二家とのコラボによって実現したペコちゃんがスクリーンに登場し『STAY AWAY』のダンスが映し出された。
その光景に笑っているのも束の間、hydeがギターを手にし『HONEY』へ。
黄色に染められた会場が明るくなり、ボルテージが再び最高潮となった。
空気はガラリと変わり『いばらの涙』が始まると、映像に映し出された荊が燃えていく。
それと共にhydeによる地の底から湧き上がる声量に耳の奥が痺れた。
圧倒的な存在感に包まれながらも、その赤い熱気は次の曲『Shout at the Devil』にまで注がれる。
旗を振りかざし、力強い眼光で歌い上げる。
ラストでyukihiroによるドラムソロが披露され、思いっきり体力を持って行かれた状態で一幕は終了した。
僕らはそのアグレッシブな流れから急にクールダウンした。
すると会場の奥の方から飛行船が現れる。
よく見たらアルバム『ark』に登場する飛行船だった。
会場を優雅に浮遊し、メインステージとは逆方向に着陸。
するとバックステージに4人が登場した。
誇らしげに飛行船を眺め、バックステージから3曲ほど披露。
まずはhydeが傘を取り出し、広げただけで周りで歓声が起こった『Singin' in the Rain』だった。
青と水色に彩られた会場内を見つめながら、初期の曲に浸れる貴重な時間を楽しむ。
続いてイントロが印象的の『LOST HEAVEN』が流れた瞬間に僕は再び胸が高鳴った。
まさかの曲がこの日は多すぎて、ネタバレをなんとか回避できて良かったと心底思った。
そしてこのステージ最後は、オーディエンスのスマホのライトを利用した『星空』だった。
ライト付きのマラカスが公式のグッズとして売っているが、白で統一されたスマホの灯りがこの日一番美しいと僕は感じた。
優しい雰囲気で閉じられ、彼らはまた飛行船に乗ってメインステージへ戻る。
30周年のお祝いも終盤に近づく中やはり幕を開けたのは『FOREVER』だ。
会場がブロックごとに光が統一され、虹ができていた。
その虹に見惚れて間違えてしまったというtetsuya。
この状況下でいかに楽しくファンとライブを作り上げるかをラルクはよく考えている。
僕は、そんなラルクのことを少しでも知ることができてとても嬉しいのだ。
『Blurry Eyes』の出だしでyukihiroが入りを間違え、再びやり直す場面も。
そこで他のメンバーも含めて笑い、ひたすらにyukihiroは謝っている。
そんな一面も、ライブに来なければわからなかった。
最後の最後まで、華やかに、希望を込めて僕らが見送り、見送られる『GOOD LUCK MY WAY』は感慨深かった。
眩しいほどに晴れ渡る青空、そこにかけられるのが『虹』だ。
前回のツアーもこの曲が最後を担った。
今日までを僕らと繋ぐため、そして31周年へと向かうための架け橋。
終わってしまう。
でも終わりを楽しんでいる。
寂しさが少しも残らない、素晴らしいライブでした。
end