今年は根拠のない楽しみがたくさん溢れている、ような気がしている。
まずライブ一発目、mol-74だ。
昨年のリリースしたEP『Replica』を提げてのプチツアー。
東京が初日とは珍しい。
しかもホール。
どんな構成になるのかは、やはり予想はしないで当日を迎える。
ネタバレありです↓
暗転したステージに4人が静かに現れ、それぞれが楽器を手にする。
ドラムの坂東にフロント3人が向かい合い、呼吸を合わせると鼓膜を震わせるほどの音と闇を切り裂くような照明で幕を開けた。
こんな元気な挨拶初めてかもしれない。
『ミラーソング』を噛み締めるように歌い上げる武市、目覚めるようなリズムでそれを押し上げていく髙橋のベース。
この音のはしゃぎ方が変わらないモルカルの音だ。
弾けるようなシンバルにあちらこちらへ音が行ったり来たりと光を纏う。
本人たちが何よりも楽しそうな表情を浮かべているのが、目を細めているにも関わらず伺える。
続いて力強いバスドラの音が一瞬にして雪が降り積もる世界に連れていく。
『ヘールシャム』の風景に僕は大はしゃぎだ、多分すごい笑ってドラムと並走するように、ヨーイドンで駆け出した。
『越冬のマーチ』を初めて聴いた日のことを思い出しながら、愉快に。
続いてもドラムが際立つリズムから始まり、井上のギターがベールを脱ぐようにかき鳴らした『待ちわびた音色』で一気に彩りを添える。
毎度のこと越冬する蝶のことを考えると、今回はやけに気合が入っての羽ばたきだった。
しかし、どうも武市の調子が前半はすぐれなかった。
イヤモニの不調か、外したり、しきりに触れたり、歌うことさえ一旦止めてしまうほど。
10年近く見ていて、初めての表情だったから少し驚いた。
しかし、途中でローディーに耳打ちすると一気に変わる。
表情もみるみるうちに良好となった。
「これからのブロックは冬、夜をイメージした曲をお届けします」
コンセプトをきっちりしたがるのも4人らしい。
そのコンセプトが前回もそうだったが、ファンと本人たちで異なることもある。
意外性が面白いのだ。
今作の4曲は、本人も言っていた通りそれぞれに個性が強い。
光の差し方、温度感、それでいて各4話のドラマを見ているような。
それほどまでに色の濃い4曲が、これまでの彼らの楽曲に混ざり合っていた。
そりゃあそうだろう、と思うかもしれないが、味付けが少し変われば異種として扱われかねないのも音楽だ。
仲間入り、と言ったらおかしいが、ライブでやっと昇華されて内なるものとしてインクルードされる。
この瞬間が感動するのだ。
また、今回は井上の新しいと思われるギターも目撃。
リフ、音色の新しい部分を目にしようと必死に手元を見ようとするが、やはり彼の楽しそうな表情に目がいってしまう。
『プラスチックワード』や『あいことば』、『Answers』など懐かしい面々も並びながら、あっという間に時間は過ぎていった。
最後に観客を立たせお馴染みの『%』、『Teenager』を披露して盛り上げていく。
この状況下で僕らが感謝や感情を伝えるにはクラップしかない。
鍛えられたファンとしては待ってましたと言わんばかりに揃ったクラップで彼らを捲し立てる。
そうして最後に表題の『Replica』が鳴らされた。
思っていたよりも力強いドラム、垂直に伸びていく高い歌声が飽和していく。
メロディに反してメッセージ性はとても強い。
どことなく、4人自身のことを歌っているのかなと思ったり。
僕はインタビューなど一切見ずに個人の解釈が好きだから、本当のことはわからない。
でも、誰にでも当てはまるような、届きそうで届かない、表現しようとしても分からないような感情を彼らは曲にしてきている。
寄り添う、とは少し違うなあ。
この答えを見つけるには10年かけてもまだ見つからないんだよね。
それでも確実に彼らの楽曲は物語を浮き彫りにしてきている。
面白くて、たまらない。
それが彼らだ。
前半で起こった不調のケアも、MCで発した「作るからには中途半端なものを作りたくない」という言葉も、フルアルバムを報告した4人の表情も含めて、彼らは信頼できるスタッフとファンと共に進んでいることを確信した。
ただの自己満足ではこうはいかない。
僕自身もそう思っているけど、お互い良い縁を持ったなと笑
全てが繋がっていくのは、何かの答え合わせみたいだ。
そうして輪は広がっていくのだ。
これから何年、何十年先も。
end