今年日がやってきた。
BUCK-TICKギターの今井寿が負傷し、ツアーが中止になった瞬間、絶望のような暗闇がほんの一瞬広がった。
一瞬というのは、やはり今井さんの状況が1番に気になったわけで。
治るものと分かってからは少し安心した。
とはいえ、ライブの予定が大きく無くなったことに変わりはないので凹む。
どうにか楽しみを探す日々。
そうしてやってきたライブ納めのこの日だった。
外の気温とは裏腹に温かい一年ぶりの武道館。
セットは電飾で彩られた、まさに配信ライブが行われた“魅世物小屋”の世界観が僕らを待ち受けた。
開演を告げるブザーが鳴り、オープニング映像が流れる。
『DIABOLO』で今年の武道館は幕を開けた。
今井さんは背後に設けられたソファに寝っ転がりながらギターを奏でていた。
元気そうに思えたが、杖をつきながら歩く姿に少し不安を覚える。
続く2曲目は『夢魔-The Nightmare-』だ。
序盤から重いカードを繰り出す。
ここでまさかの『楽園』が登場し、これまたヘビーに。
和装を取り入れたような衣装のあっちゃんこと櫻井敦司は艶やかに舞い、祈りを捧げる。
セットの世界観にマッチした『謝肉祭-カーニバル-』や『Lullaby-III』ではゆーたのアコースティックベースを見ることができた。
そして『絶界』『Living on the Net』という奇妙な流れに興奮。
極め付けは『光の帝国』がTOUR No.0以来に演奏された。
あっちゃんの横ピースも健在である。
『ユリイカ』そして『忘却』へと進み、第一部は終了した。
ここまででも十分に凝縮されたセットリストと演出だった。
この2部構成については、コンセプトが全くわからない恐る恐る覗き見たい人間の真理のようなものが働く。
そう、まんまとこの世界観にハマっている自分がいた。
第二部は『BABEL』が始まりを告げた。
爽やかな緑?青?のセットからピンクに色を変えたアニイのドラムはいつもより大きく聞こえた。
力強い歌声と迫力は前回披露された時よりも遥かにオーラが濃く強くなっている。
『獣たちの夜』や『Villain』と流れ、この部はアップテンポに盛り上がるをテーマなのかと勝手に勘繰っていた。
しかし、突如としてアコースティックブロックが始まった。
『形而上 流星』、『JUST ONE MORE KISS』など、サルベージされ進化を遂げた曲たちはその本質を残しながらも180度変わったアレンジで観客を楽しませた。
忘れかけていた新曲たちはアンコールでの初披露となった。
まずは『恋』だ。
ヒデのギターとコーラスが優しくも切なく、まさにヒデ曲。
優しく揺れるあっちゃんにも見惚れてしまった。
「新曲をもう一曲」と嬉しそうに呟いて始まった『Go-Go B-T TRAIN』は大きく飛び出すような始まりがかっこいい。
やはりこの曲はライブで化けると、僕は期待していた。
掛け声も、オーディエンスは声を出せないながらも飛び跳ねて喜んだ。
「やっと乗れたね、B-T TRAINに」と、披露後は満足そうに微笑む櫻井敦司。
何よりも今年唯一の有観客ライブ、そして今井寿の復帰ライブとあってメンバーも観客も満足げだ。
来年のことを見据えながら最後は『独壇場Beauty』で締めくくった。
本当にあっという間の2時間半以上。
なぜこんなにもパワーがあるのだろう。
なぜこんなにもあらゆるアイデアが浮かんでくるのだろう。
来年はデビュー35周年に向けていろいろと動き出すようだ。
僕も乗り遅れてはいられない。
突き進むのみだ。
今年もありがとう!
end