今年一番読めないライブの日となった。

「すーっごく楽しい」というハードルの上げ方。

以前、モルカルの日で共演した時も意外すぎてどうなるか気になっていた。

しかも今回は引き語りイベント。

ワクワクしかない日が近づくたびに嬉しくなった。

 

久しぶりのFEVERは懐かしかった。

よくPOPOではご飯を食べたし、ワークショップも行った。

変わらずにそこにあったライブハウスに少し感激した。

 

先攻は武市・坂東。

ぬるっと登場し、ゆるく挨拶。

『エイプリル』の心地よいリズムから入り「僕らの音楽は眠くなると言われるので、気をつけてください」と早速お客さんと距離を縮める。

新譜から『Vanilla』、冬にぴったりの『ゆらぎ』と続く。

話は2人が出会った頃の話題に。

高校生でバンドを組み、コピバンだけでなくオリジナルも作り始めた頃に坂東に聞いてもらい褒められたという曲『足跡のない世界』。

長い時を経てこの日、フルで披露された。

後に「音源化すればいいじゃん」と佐々木に絶賛されるが照れ臭そうに笑っていた。

初期の中の初期の曲ではあるが、今のmol-74の片鱗が垣間見えた。

そこからASIAN KUNG-FU GENERATIONの『海岸通り』のカバーを披露。

ただのカバーではなく、きちんと武市和希としての表現がされていて、冬の静けさを僕は見ることができた。

 

ご機嫌な佐々木亮介は緑茶割りの缶を持って登場。

「みんなが天使に見えるよ」と笑顔を見せると『天使の歌が聞こえる』が鳴らされた。

佐々木の声はマイクなんかいらない。

胸に突き刺さるという言葉の本質は彼の歌声にあると僕は思っている。

彼が歌うことで、暗い道でも、どんな泥道でも、雪道でも、そこに道が開かれる。

12月に生まれた人へ送ると放った『オーロラソング』では、たまたま坂東の誕生日が今月だと知って爆笑。

これ以降も飲みながらMCがゆるゆると続くのだが、自分の出番が押していることに気づく。

『伝説の夜を君と』から『北極星のメロディ』を展開していくと佐々木は話した。

「コロナがどうなるかわからない、明日がどうなるかわからない」

この恐怖はここ数年必ずついて回ったことなのに、なぜか佐々木の言葉に勇気が湧く。

そして彼は『Honey Moon Song』を歌い始めた。

1弦が切れたそのギターで、立ち上がり、マイクも通さずに叫んだ。

心の、この先の雲が晴れた気がした。

 

最後は両者でのセッション。

佐々木からは『Teenager』をリクエスト。

理由は「ティーンエイジャーっていいじゃん、この歳になってティーンエイジャーって忘れがちだよね」とのこと。

そして2人からは『月に吠える』をリクエスト。

前回のイベントでやったものの、Twitterにてカチンとくる言葉を見つけたためリベンジしたいという理由だった。

両者ともにやはり面白いアレンジになっていた。

ただ単に演奏したらカラオケだ、それは。

互いをリスペクトし、思いの丈をぶつけていた。

他にもカバー曲を交えながら『NEW TRIBE』そして『瞼』を演奏。

終始楽しそうにニコニコしている3人はこちらにも伝わるほどの高揚さだ。

これほどまでフロアと一体となって盛り上がるなんて久しぶりだ。

そもそもライブハウスから離れかけていた僕には新鮮だった。

全てを出し切ったにも関わらずアンコールを求められ「もうないよ」と笑っていた3人。

絞り出した結果、両者の曲のコードが同じということに気づいた。

そのため即興で1番は『NEW TRIBE』2番は『Teenager』を披露。

異次元の盛り上がりで大盛況のもとこの日は幕を閉じた。

 

満足そうに、優しく2人を見る佐々木。

お兄さんのような関係性に、僕はこの2時間半のライブだけで終わらないと確信した。

 

これだよ、これ。

ライブってのはこう距離が近くて全員が同じような多幸感を味わうようなことだと思っている。

今年いくつもの思い出に残るライブがあったが、そのうちの上位の一つだ。

 

この先、きっと大丈夫だ!

 

 

end