フラッドのライブは毎回、鮮明に感情までも記憶に刻まれる。

オーディエンスとバンドが確実に重なったライブを見せる。

 

 

SEがじわじわとボリュームを上げ、会場が暗転する。

破裂しそうなバンドサウンドから『Where Is My Freedom』が始まった。

いつものように革ジャンを纏ったボーカル佐々木が飛び出してくる。

それに呼応して、僕らもステージへ向かっていく。

彼のシャウト、コールアンドレスポンスに続いて僕らは腕をあげる。

そこから『Blood & Bones』、『Lightning』が続き、休む暇もなく僕らは声を上げ続ける。

今回加入後初ツアーとなるギターのテツ。

僕と同い年なので、愛を込めてテッちゃんと呼ばせてもらう。

テッちゃんは大胆に何度も前方に出てギターを存分に聞かせる。

彼のギターソロが鳴るたびに会場から歓声が轟く。

それを見て時々笑顔を見せるドラムのナベさん。

hisayo姐さんは可憐に涼しげに舞いながらベースを鳴らすものの、その音は体に響き渡る。

『Dancing Zombiez』が鳴らされるとオーディエンスは待ってましたとばかりに反応し、暴れる。

彼らのライブで痛いという思いをしたことがない。

それぞれが思い思いにモッシュ、ダイブをするのに。

キチンと周りと楽しむ準備をしてから踊るから、僕らは嫌悪を抱くことなく時間を過ごすことができるのだ。

夏も本番になってきたかという日、わずか4曲にして汗だくになった。

『Leo』の高らかで鮮やかな意志から爽やかな『Summer Soda』、『再生』へと続く。

ロックンロールとともに、彼らの澄んだ歌詞の一つ一つを噛みしめる。

ナベさんがフロアの熱量を上げながら始まった『Rising』から再びアグレッシブブロックへ。

『The Beautiful Monkeys』で人が人の上を泳ぎ、『One Way Blues』では見事なラップを歌いながら佐々木が人の上に乗り出す。

その光景を見るたびに僕は圧倒されてしまう。

神々しさというか、美しさというか。

信頼できるバンドはいくつもいるけれど、全てを預けたくなるバンドは数少ない。

彼らの背中を見るんじゃなくて、彼らとともに歩みたくなる。

「俺たちは今までいろんなギタリストがいたけど、今回テツが加入して、これが最終形態。これが最初で最後の本当のa flood of circleです!」

そう宣言する佐々木の言葉に胸が熱くなった。

「まだ録っていない曲が40曲くらいもある。楽しみにしていてほしい。必ずお前たちを連れて行く。」

涙が、大粒の涙が溢れた。

そこから新しい船旅を告げる『NEW TRIBE』なのだから、僕らは愛されていると思わざるをえない。

最終ブロックが始まりを告げると本当にあっという間だった。

『プシケ』からまだまだ体力は有り余っていると自覚したため『シーガル』でも無心でただただ声を出し続け、踊り続けた。

『ミッドナイト・クローラー』の盛り上がりは異常だったし、メンバーはもちろん、周りの人の表情まで笑顔で一色に染まっていた。

本編ラストは『Wink Song』で幕を閉じた。

アルバムもこの曲で閉じられる。

「心配ないぜ」繰り返されるこの歌詞にどれほど助けられたか。

等身大かつ、苦しみも悲しみも知っているフラッドだからこそ鳴らせるロックがそこにある。

背後から挿した光に染められ、シルエットが4つ浮かび上がる。

僕らはこの4人を見に来た。

これからも見に行く、確実に。

アンコールで全員で歌った『ベストライド』は声が枯れるほどだった。

とても強い歌声だった。

彼らに届けるように、明日の自分に届くように。

最高のライブだった。

 

 

特に『ベストライド』はベストアルバムリリースワンマンでも歌った。

僕にとって初めてのフラッドのワンマンだった。

なんで行ったのか覚えていない。

だけれど、汗だくで踊ったことも理性がぶっ飛ぶくらい楽しかったことも覚えている。

余韻が胸いっぱいに広がる。

今が、これからが幸せでたまらない。

また会いに行きます。

また歌おう。

 

 

end