六月大歌舞伎「児雷也」@歌舞伎座 | 明日もシアター日和

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観たもの読んだものについて、心に感じたことや考えたことなど、感想を綴ってみます。

芝翫/孝太郎/松緑/橋之助/松江

 

 新システムになった幕見、当日販売の自由席で観てきました。前日にインターネットで購入可能な指定席以外の、両端ブロックの席は自由席。その部分の購入&入場方法は今までと同じです。当日に幕見用窓口で購入→整理番号が書かれたチケットを渡される→指定時間になったら4階に上がって待つ→整理番号順に客席に入る。今回は開演2時間くらい前に購入し、整理番号は「004」でした。自由席は外国人のお客さんが圧倒的に多かったな。

 

 さて「児雷也」ですが、菊之助が児雷也を勤めた通しでの「児雷也豪傑譚話」(@新橋演舞場)は観たことがあるけど、こちらの1幕ものは初見です。そもそも歌舞伎座では初上演らしい。山中一ツ家→術譲り→藤橋だんまりという3場構成ですが、40分ほどの超超短縮版ゆえ、様式美で見せるといえばそうなんだけど、ちょっと緩い舞台でした。

 

 離れ離れになっていた許婚同士の尾形弘行(芝翫)綱手(孝太郎)が再会。弘行は綱手に導かれて仙素道人(松江)に会い、蝦蟇(ガマ)の妖術を授けられ(ここで児雷也と名乗る)道人に、大名だった弘行の父を殺した大蛇丸を倒して尾形家再興を成せ、と促される。場面は藤橋に変わり、児雷也と綱手、さらに味方の高砂勇美之助(橋之助)と敵の山賊夜叉五郎(松緑)が加わり、秘術を記した一巻の取り合い(だんまり)。児雷也が妖術でガマを呼び出して撹乱させ、一旦姿を隠したのちにスッポンから現れ、捕手をやっつけて花道を去っていく(←筋書を買ってないので不正確ですが)。

 

 だんまりの場が見せ場ではあるけど、高砂勇美之助と山賊夜叉五郎がいきなり出てくるので、誰?🙄ってなる。まあ、だんまりではよくあることですが、せっかく様式的にダイジェストで見せるのだから、ここはガマだけでなく、大蛇と、綱手の妖術によるナメクジを出して乱闘立ち回りを見せれば盛り上がるのに、と思ってしまった。元々ある1幕ものをそこまで勝手に変えていいのかどうかは分かりませんが。あと、だんまりで登場する児雷也がなぜか短銃を持っていて???でした。

 それを別にすれば、錦絵風の児雷也、なぜか狼の頭を被って登場する美男子の高砂勇美之助、骨太な山賊夜叉五郎、そして艶っぽいけど勇ましい綱手、4人が見せる所作と絵面の美しさ、そして妖術が見せるおどろおどろしい空気感があり、目が楽しいです。

 

 芝翫の児雷也は押出しが良くて舞台映えする。大名の御曹司ということで、芝翫には珍しく白塗りでした。実際のところ若衆なわけで、そう思うとちょっと貫禄がありすぎかも。花道での捕手との立ち回りは派手に決まり、六法で引っ込むところは豪快で華やかでした🎊

 孝太郎の綱手は色気と気性の強さがあり、こちらもすごく若々しいというわけではなかったから、その意味では芝翫とバランスが取れていました😅 最初の場での、ラブラブぶりもこのペアだとしっくりくる感じ。

 ダンマリの後、児雷也の妖術で岩から現れたガマが前脚で頭をなでなでするところが可愛かった😆 脚が短くて目までしか届かないのだけど、もしかしたら目(まぶた)をこするのが目的かな? 幕が引かれたあと幕前芝居風にガマがピョンピョン跳ねながら花道へ。湧き上がるスモークがスッポンまで誘導するように流れるところは見事。で、いつの間にかガマがいなくなってスッポンから芝翫が登場するという演出はなかなか良かったです👏 本作の功労賞は運動量いちばん多いガマさんでしょう。中の人は坂東彌紋さん

 

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